中小企業者等に対する同族会社特別税率の不適用(法人税)


 同族会社については、基本税率による課税のほか、法人形態と個人形態における税負担のバランスを図ることから、一定の限度を超えて留保した所得に対し、特別税率により計算した税額を加算することとされています。
 近年の厳しい経済情勢等を踏まえ平成12年の税制改正において、一定の中小企業等に留保金課税を適用しないこととする租税特別措置が、新設されました。また、平成14年及び平成15年の税制改正においても、留保金課税不適用の措置が拡大されています。
 これらの改正内容について、年代順にとりまとめてみました。

1 平成12年改正
 中小企業・ベンチャー企業を支援する観点から、2年間の時限措置(平成14年改正で16年3月まで2年延長)として、次の事業年度については、留保金課税を適用しないこととする特例措置が講じられました。
(1) 新事業創出促進法の中小企業者に該当する同族会社の設立後10年以内の事業年度
(2) 新事業創出促進法の認定事業者に該当する同族会社の認定計画に従って新事業分野開拓の事業を実施している場合のその事業年度
2 平成14年改正
(1) 中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の中小企業者に該当する同族会社で、前事業年度の試験研究費割合が3%を超えるその事業年度が、留保金課税不適用の対象に加えられました。
(2) 資本金1億円以下の同族会社の平成14年1月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度にかかる留保税額については、その5%相当額が軽減されました。

3 平成15年改正
(1) 同族会社のうち各事業年度終了の時における資本金1億円以下のもので前事業年度終了の時における自己資本比率が50%以下である法人について、3年間の時限措置として、留保金課税は適用しないこととされました。
(2) 同族会社の判定を行う場合で、その判定の対象となる会社が自己株式を有するときは、株主からその会社を除くとともに、その発行済株式の総数から自己株式を除くこととされました。
(3) 同族会社となる会社の持分割合の基準が、50%超(改正前は50%以上)とされました。
(4) 課税留保金額に対する税額の5%軽減措置が、廃止されました。

(2003. 9. 2)