所得税における減価償却制度の改正

 減価償却制度の見直しは、法人だけでなく個人の所得課税においても改正が行われています。所得税法本法で49条<減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法>が改正されるとともに、償却方法などの詳細を規定する所得税法施行令の「必要経費等の計算」の第4款<減価償却資産の償却>等が大幅に改められることとなりました。

 所得税法施行令においても、(1)19年4月1日以後に取得する減価償却資産から償却可能限度額と残存価額を廃止して1円まで償却できる制度とすること、(2)19年3月31日以前に取得した減価償却資産は償却可能限度額まで償却した年分の翌年分以後5年間で1円まで均等償却すること等が規定されることになりました。資本的支出やリースについても同様の規定が置かれています。

 その中で、適用時期に注意が必要です。
 (1)は文字通り、この4月1日以後に所得する減価償却資産から新しい定額法、定率法の償却計算が適用され、19年中に取得したものは、同じ減価償却資産でも取得時期で償却方法が異なることになります。
 一方、(2)の5年均等償却の適用については、平成20年分以後の所得税について適用するとされていることから、既に償却可能限度額まで償却したものがあっても、5年均等償却を始めるのは20年分所得税からということになります。

 なお、減価償却資産を譲渡した場合、収入金額から差し引く取得費は減価の額を控除することになるため、事業用資産の場合には必要経費に算入された償却費の累積額を控除することになります。ただし、住宅の譲渡などの非事業用資産の場合には、一定の方法で減価の額を計算することになりますが、この場合の定額法は「旧定額法に準じて」と改められており、従来と計算は変わりません。

(2007.05.20)