![]() ![]() コンサート |
ロシア出身の若きピアニストのロマンティック・プログラムをお楽しみください |
と き:2000年10月27日(金)13時/16時(2回公演) |
![]() Rustem Hayroudinoff 【プログラム】 ベートーヴェン:ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27“月光” ショパン:ワルツ 変ホ長調 作品18“華麗なる大ワルツ” ショパン:マズルカ イ短調 作品17−4 ショパン:ノクターン 変ニ長調 作品27−2 ハイルディノフ:山田耕筰の歌曲によるピアノのためのメドレー ハイルディノフ:瀧廉太郎の“花”による幻想曲 エヴラー:ヨハン・シュトラウスの“美しく青きドナウ”の主題によるアラベスク |
出演者 ルステム・ハイルディノフ 紹介 | |
プロフィール ロシアの東方の都市カザンに生まれる。父親は有名なチェリストである。カザンで幼少年時代を過ごし、その才能を認められ、モスクワの国立チャイコフスキー音楽院に入学、もっとも厳しいといわれるネイモフ教授に師事した。卒業後、おりからの自由化によって、ロンドンに移住、ロンドン王立音楽院でクリストファー・エルトン教授にも師事。最優秀で卒業し、ただちに演奏と教授活動に入る。
最近では、イギリス国内は当然のこととして、ベルギー、ドイツ、ロシア、アメリカ、オーストラリアなど世界各国で演奏し、どこでも「スタンディンク・オヴェイジョン(客席総立ちの拍手)」を受ける成功を収めている。2000年には彼のアメリカにおける生放送が、600のFMラジオ局を通じて全米に流れることになっている。 |
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ハイルディノフのこと 横溝亮一 ルステム・ハイルディノフ、その名をきいたのはもう数年前になる。ロンドン在住の日本人留学生からの便りで、「ロンドンにすごいロシア人のピアニストが現れた。ぜひ、聞きに来て下さい」というのである。たまたま、大英図書館で調べごとをするつもりで用意していた私は、そのロシア人への連絡をファックスで依頼しておいて、急遽ロンドンヘ飛んだ。
ロシア人で、すごいピアニスト、などというと、なんとなく、熊のような、髭を生やした大男のように思える。それは、一時、非常に活躍したラザール・べルマンの印象から来るものであったかも知れない。だが、ロンドン王立音楽院で会った彼、ルステム・ハイルディノフは、これがロシア人かと思うほどの長身、痩躯、笑顔を絶やさぬ美青年で、なんでも、その容姿を買われて、スイスの高級時計のモデルに起用されたこともあるのだという。その数日後、我々は王立音楽院の大ホールを深夜借り切って、彼の演奏をおよそ3時間にわたってきいた。バッハからはじまって、プロコフィエフのソナタ第7番(戦争ソナタ)にいたるまで、彼ルステムは、力強いタッチで、息も乱さずに弾き抜いた。そして、最後に笑いながら「こんなのはいかがですか」といって弾いたのが、あるドイツ人が編曲した「超絶技巧的」に難しい技巧をちりばめたヨハン・シュトラウスのウィンナ・ワルツ「美しく青きドナウ」だったのである。彼はまことに真撃な演奏家であると同時に、ユーモアのセンスも持ちあわせている、「楽しさのある」演奏家なのだった。 「これはものになるぞ」私はこれまで、何千というピアニストを聞いてきた経験から、直観的に感じた。見掛けは華薯のようではあるが、さすがにロシア人らしい、ある種ずぶとい神経をもっていて、豪然とピアノを鳴らすかと思えば、この上ないほのぼのとした叙情性を描き出すのである。 さすがにそうした彼のピアノは欧米各国でも評判になり、彼のもっとも得意とするラフマニノフ始め、「青きドナウ」なども入れたCDがモスクワで録音され、日本でも発売された。さらに、アンドラーシュ・シフ、マレイ・ペライアら著名ピアニストの推薦で、今後、デッカ・レーベルでCDが録音、発売され、また、欧米諸国での演奏スケジュールもびっしりつまっている。そうした人気もののルステム・ハイルディノフが日本人留学生から借りた「日本の名歌」という楽譜集に興味を持ち、山田耕搾の「からたちの花」「待ち惚け」など代表作品をつなげるメドレー、瀧廉太郎の「花」を主題とする幻想曲を自らピアノ独奏曲に編曲して弾きたいとの希望を寄せてきている。 従来、フルートやヴァイオリンで、日本のメロディーを演奏する、という例はあったけれども、ピアニストが自身でピアノ曲に編曲して弾く、という例は、過去にあったかどうか私は知らない。彼はいう。「私は芸術家として、精神的内容の深い音楽を追及していきたい。けれども、クラシック音楽の現状は、次第に一部のマニアだけのものになっていく、苦しい状況にある。なぜ、もっと、一般市民とともに楽しめる音楽をやろうとしないのか。それをやることは、ピアニストの地位を下げることにはならない。ともに楽しみ、ともに感動する音楽をやる演奏家として、今後も勉強、研鐙を積みたい。」 なお、彼はコンクールを受けないために、日本では無名に過ごしてきたが、彼は「芸術における才能を点数評価し、順位をつけることに疑問を感じる」といい、さらに「コルトー、バックハウス、ギーゼキング、ホロヴィッツなど過去の大巨匠たちは、コンクールなどとなんの関係もなく、その実力で大成している。自分もロシアの正統的ピアノ楽派をさらに学びつつ、そうした先輩のあとを追いたい」との抱負を語っている。 (音楽評論家) |
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新聞評等 「深遠な思想を探る演奏」
ラザール・ベルマン あるコンサートで、私はルステム・ハイルディノフ氏のピアノを聞いて、これは容易ならざる高いレヴェルの演奏だと感じた。彼は弾き進めるに従って、音楽が深化し、その神髄を捕らえ、表現してみせる。これはまさに真のアーチストであり、巨匠と呼んでよい。このような創造性豊かなピアニストは、とかく安易な演奏がはびこる今日、非常に価値があり、尊重すべきである。 「想像を越えるピアノ」 ジョン・オコーナー ここ数年、ルステム・ハイルディノフという若いロシアのピアニストがロンドンに住むようになり、それが、非常に優れた人であると聞かされていた。その名声は単にロンドンのみならず、イギリス、アイルランド、スコットランドなど諸国にも知られるようになり、さらに、アメリカ、アジアヘと、彼の活動範囲は急激に拡大していった。私は彼がイギリスにずっととどまれるよう協力し、また、私の故国であるアイルランドにも紹介したが、その演奏は現地で非常に高く評価され、また、私自身、彼の才能は途方もなく大きなもので、将来の発展は疑いもなく巨匠の域に至るものであると信じている。 「疑いもなく、傑出した存在」 ダヴィッド・ヨセフヴィッツ(ロンドン・ソロイスツ室内オーケストラ監督) 私はハイルディノフ氏の存在を2年前に知り、彼とモーツァルト、ラフマニノフなど2回、協奏曲を一緒に演奏した。2回とも大成功で、各新聞の評判も非常に良かった。彼はテクニックにおいても、また音楽性においても、若い世代のピアニストのなかでは傑出したものをもっており、今後、イギリスのみならず、世界に雄飛する存在となるであろうことは疑いもない。 「偉大なピアニストヘの道」 イエシカ・ダッチェン(クラシック・ピアノ誌) 私はルステム・ハイルディノフが、やがて世界のもっとも偉大なピアニストのひとりとして、注目されるようになるであろうことを疑わない。私はピアノ専門雑誌を編集する立場として、数知れぬピアニストを聞いてきたけれども、ハイルディノフは、それらのなかで、飛び抜けて洗練された感受性、力感、美しい音の美感、などをもっており、それらを組み合わせて、彼は「絶対的に」といってよいほどの魅力ある音楽を作り出すのである。多くの若者がステージを踏むなかで、ハイルディノフは、まったく例外的に傑出した才能をもつピアニストである。私は相手がどんな主催者であっても、彼を採用すべきだと進言することに、なんらのためらいも感じない。 |
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