Concert  Re-view
2002

コンサートへの反響を紹介。


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2002年のコンサートから
和波孝禧&中野振一郎 (12/17)
アンサンブル・コンソナンテ(ベルギー 12/7)  山崎伸子&長岡純子 (12/3)
房もも子 (11/28)  永野英樹 (11/23)
ユーリ・ブラジンスキー (10/25)  若林 顕 (10/5, 11/10)
御喜美江 (9/27)  児玉 桃 (9/22)
オーケストラ・アンサンブル金沢第18回名古屋定演 (9/16)
ルイス・クラレット (9/1)  第28回木曽音楽祭 (8/24)
渡辺克也 (8/6)  漆原啓子 (7/14)
今井信子 (6/9)  フランソワ・ルルー (6/2)
あしながガラコンサート (6/1)  マルティヌー弦楽四重奏団 (5/30)
アルテミス・カルテット (5/27)  モラヴィア弦楽三重奏団 (4/29)
コペンハーゲン・ピアノ・トリオ (4/20)  戸田弥生 (4/3)
小林秀子 (3/12)  佐藤豊彦 (3/6)
オーケストラ・アンサンブル金沢第17回名古屋定演 (2/23)
プロ・アルテアンティクァ・プラハ (2/1)  クリスティーネ・ショルンスハイム (1/13)

和波孝禧&中野振一郎
2002年12月17日 スタジオ・ルンデ
○今、コーラスでバッハの“カンタータ78番”を練習中です。CDでききましたらチェンバロの伴奏でとても心がいやされ、ピアノとは又ちがってとても心地良かったです。一度生でききたいと思って出かけてまいりました。やはり思ったとおり音がしずかで暖かく気に入りました。又、出かけたいと思いました。【中村区:M. K. 】 ○バロック楽器は生で聞くのははじめてです。“Partita"の《Sarabande》あたりから、どんどんよくなっていく感じがしました。はじめてルンデに来ましたが、こういう雰囲気は好きです。【昭和区:H. O. 】 ○日本を代表するヴァイオリニスト和波氏とチェンバリスト中野氏の共演を、何か月も前からとても楽しみにしていました。
 和波氏は著書を拝読し、ヴァイオリンに対する情熱、びっくりするような世界的なヴァイオリニストとの師弟関係、人生に対する真摯な生き方、ピアニストの奥様の御助力など人間としてのすばらしさにも敬意をもちました。
 中野氏は演奏とともに司会もしばしば拝見し、たいへん優しい魅力的な人格に、音楽界の暖かさを感じていました。
 ヴァイオリンとチェンバロの美しいハーモニーに涙が出るくらい感動しました。お二人の今後のご活躍を……。【無名氏】 ○無伴奏もソナタも、大変感動的な演奏であった。ルンデは本日で2回目(学生の時、20年前に1回来ました)。久しぶりに来て良かった。【尾張旭市:K. S. 】 ○バッハが和波さんのピリオド楽器で今夜聴けるとは思っていなかったので、出だしちょっとビックリしました。あたたかみを感じました。ピリオド楽器には、名手中野さんのチェンバロはさすがによく合います。ソナタでは後半の2曲が、こちらの耳も慣れてきたせいもあり、特に良かったです(中でも第3番のかけ合いが見事でした)。【緑区:K. I. 】 ○静かにすいこまれるような弱音のヴァイオリンの音から始まるロ短調の曲に感動しました。アンコールで再び短調のゆっくりした曲とともに受難の曲を聴いているように思いました。
 バロックヴァイオリンはまさに「バロック」で、どこか少し歪んでいるが、とっても人間的で、聴く人をいやしてくれます。チェンバロの音も軽快で、いつもの説教をたれるようなバッハでなくとても親密な、今生まれた曲のように新鮮でした。【中村区:M. I. 】
○今日で4回目になる私としては、今日のコンサートは、とてもインパクトがありました。いつもと違う音色……はじめは「今日は和波さん、元気がないのかしら……」とか、いろいろな音がきこえるようにも思え「音が乱れてる?!」など、失礼なことまで感じてしまいました。でも、耳がなれてくると、とても味わい深い音に、むしろ感激してしまいました。特に低音がすばらしく、ヴァイオリンの奥の深さにおどろきました。和波さんは「このヴァイオリンで、いろいろ判明したことがある」とおっしゃっていましたが、私にとっては謎がいっぱいです。何が判明したのでしょう。ふつうのヴァイオリンとはどう違うのでしょう。いろいろ質問してみたい気持ちです。今日はありがとうございました。【瑞穂区:Y .O. 】
○コンサートヘ行くときには、その日に演奏される曲をなるべく前もって聴いておくようにしている。この演奏会については、無伴奏パルティータは耳に親しい曲なのでまあいいとして、ヴァイオリンとチェンバロのソナタ1・3番については二度ほどCDを聴いてから出掛けた。
 コンサートでいちばんわくわくするのは、最初の音が出てくる瞬間である。ところがこの日最初のヴァイオリンの音を聞いたとき、あれっと思った。ずいぶんひなぴた音だったからである。実はこの日の楽器がいわゆるペリオド楽器だということに気がつかなかったのだが、そう思ってよく見ると、弓もバロック・スタイルの弓であった。そして考えてみると、前もって聞いていったCDの演奏(シトコヴェツキー/ヒル)はモダンの楽器によるもので、弓もおそらくモダンの弓だったのだろう。楽器だけでなく、演奏方法も違うようで、CDのほうはかなりたっぷりとした演奏だったのに比べ、この日の和波さんの演奏はヴィプラートをかなり控えめにして、どちらかといえば音の表情はそっけなかった。なるほどこういう弾き方もあるんだなあと感心した。そして「ああこれがバッハの時代の音楽だったんだなあ」と思わせるものがあった。休憩のあと和波さんご自身も「この楽器を使うことでこれまでになかった新しい世界が開けました」という意味のことをいっておられたが、なるほどと思った(できればどんな「新しい世界」なのかを聞きたかったが……)。ある意味で新鮮なバツハであった。
 ところでこの日演奏された三曲のヴァイオリン・ソナタでは、この時代にしてはめずらしく、チェンバロがずいぶんいろんな事をする。だから、ヴァイオリン・ソナタというより、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタというほうが正解だと思う。したがってチエンバロの役割が重要なのだが、中野さんのチェンバロはまったくいうことなしで、あるときはヴァイオリンの介添え役になったかと思うとある時はちゃんと自分を主張し、その呼吸は絶妙であった。余裕たっぷりで、とても和波さんとはじめて共演したとは思えなかった。実は二日後に中野さんのソロ・リサイタルを豊田で聴くことになっているのだが、ソロが楽しみになったのであった。
 この日はオール・バッハ・プログラムだったわけだが、バッハの音楽は楽譜そのものはそう面倒ではないので、演奏者の個性がそのまま出てくるような気がする。あまり先入観を持って演奏に接するのはよくないことかもしれないが、和波さんについては、和波さんの書かれた本も読んだし、ルンデで何度も接しているので、人柄はとても真面目で暖かでありながら、こと演奏に関しては妥協を許さないきぴしさをもっておられるかただということを承知していた。この日の演奏はまさにそれを感じさせるものであった。暖かさはゆつくりした楽章で漂ってきたし、早い楽章ではむしろきぴしさのようなものが前面に出ていた。ちょつと驚いたのは第三番のソナタの最終楽章で、思いもよらないほどの速さで演奏されたので一瞬唖然としてしまったが、あるいはこのあたりが和波さんのいわれる、バツハについての新しい感じ方のひとつのあらわれなのかもしれないと思った。
 バッハの音楽とその演奏方法については数限りないほどの解釈や意見があるらしいが、楽譜そのものは(例外も少しはあるが)かなりストイックである。ただそれをそのままストイツクに演奏したのではどうにもならないので、演奏者による「味付け」が肝要になってくる。この日の演奏は基本的にはストイツクでありながら、ところどころに甘い情感があったかと思うと、激しい情熱のほとばしりもあるといったものであった。
 これで今年のルンデでのコンサートは終わりである。いろいろ他の用件と重なったりして例会については半分ぐらいしか聴けなかったが、どのコンサートも印象深いものであった。来年もせっせと「ルンデ通い」をしようと思う。【安城市:T. S. 】

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アンサンブル・コンソナンテ(ベルギー)
2002年12月7日 スタジオ・ルンデ
○素晴らしい音楽でした。感謝祭の終わった耕地を吹き抜ける風に立つ思いでした。倉知さんの曲もすばらしく、会場にいらっしゃったことは何よりの gift だったと思います。バスクラリネットの魅力にとりつかれました。【守山区:N. N. 】
○ヴァルケのトリオは、やはり珍しい組合せの響きが十分楽しめました。倉知さんの新曲は思いのほか大作でしたが、バスクラリネットがよく生かされていると感じました。
 ギュンスさんの技術、すごいです!後半の曲も、どれも面白かったです。クルタックの小品は気がきいていましたし、大堀さんの曲の出だしのピアノ、ちょっとビックリします。なかなか聴けない珍しい曲を名手の演奏で、一番聴きやすいルンデで聴けて幸せです。【緑区:K. I. 】
○楽しい演奏でした。最初から最後(アンコール)までどこか不思議な空間にいるような感じがしました。気持ちがいいです。【Mu】
○バスクラリネットとイングリッシュホルンというめずらしい組み合わせのコンサートで、プログラムはみんな現代曲、これが思ったよりずうっとおもしろかった。
 前半は、喜遊性のある楽しい曲、後半は、どちらかと言えばシリアスな曲が並び、楽器の取りあわせも変化がありあきさせなかった。
 アンコールの三句俳句から啓発された点描風の曲もしゃれていた。 もうひとつのアンコールではビックバンドを模した3つの楽器がつくり出す音響から、この組み合わせの可能性の大きさを思い知りました。【中村区:M. I. 】

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山崎伸子&長岡純子 ベートーヴェン
2002年12月3日 スタジオ・ルンデ
○○大変満足した演奏会であった。【大垣市:Y. N. 】 ○最高のベートーヴェンをたんのういたしました。感謝いたします。No.2、5も機会をつくって下さい。【日進市:K. Y. 】 ○感動しました。お二人の息ぴったりで、ベートーヴェンの世界にいざなって下さって本当にありがとうございました。【羽島市:H. M. 】 ○今夜の山崎さん、すご味がありました。ベートーヴェンと相性も良いのでしょうが、『他の人に奉仕しない』山崎さんの演奏の迫力たるや、すごいものでした!ピアノの長岡さんは、初めて聴かせてもらったと思いますが、ベテランの味、二人のソナタとして素晴らしかったと思います。ベートーヴェンの第3番は、音楽が大きい感じで大好きな曲ですが、今夜程感激して聴いたのは初めてです。チェロとチェロ音楽をいつくしむように弾く山崎さんの表情、素晴らしかった。元気をもらいました!【緑区:K. I. 】 ○素晴らしい演奏で感激しました。是非Beethovenの残りのSonata、Variationもいつかルンデでお願いします。【無名氏】 ○久し振りの長岡さんは、さすがに「こうをへた」悠々と我が道を行く見事な演奏ぶり。室内楽派の山崎さんは、ピアニストとの協調の中から音楽造りをして行くタイプのようなので、どうなることかと大変興味があったが、なに、結構張り合った感じで、このコンサートは思わぬ迫力に包まれた。近ごろにないベートーヴェンらしいベートーヴェンを聴いた想い。【無名氏】 ○演奏会を聴きにゆくときは可能なかぎりその日に演奏される曲を前もって聴いてからゆくようにしている。この日の曲目はポピュラーなものばかりだったので、幸い手元にあるCDにすべて入っており、二回ばかり通して聴いていった。ところで自分の持っているCDは演奏者がばらばらで、この日の曲目でいうとソナタの第一番と「魔笛の主題による変奏曲」はマイスキー/アルゲリッチという、ばりばりの腕の立つ連中の演奏。そしてソナタの第三番と第四番は、何とロストロポーヴィッチ/リヒテルという大御所の演奏である。もちろん演奏のスタイルはかなり違い、自分としてはマイスキーの演奏はちょつと頑張り過ぎのように思い、逆にロストロポーヴィッチの演奏は(録音が古いこともあるが)なんだかもどかしい感じがした。こういう経緯があったので、果たしてこの日の演奏はどちらのスタイルに近いかなあと思いながら出掛けた。
 結論を先に言ってしまうと、山崎さんのチェロはどちらかといえばマイスキー.スタイル、長岡さんのピアノはリヒテルばりであった。まったくの好対照で、このようなお二人がしばしば共演しておられるというのは不思議なような気もするが、考えようによっては、だからうまくゆくのだということかもしれない。山崎さんのチェロは、極端な言い方をすれば音楽を遮二無二自分のほうへ引き寄せようとしているかのようである。実は前の週に堤剛さんのチェロ・リサイタルを聴いたのだが、堤さんという人はどこか音楽に奉仕しているようなところがあり、音楽の自然な流れをそのまま音にしてゆく感じがする。しかし山崎さんのチェロは音楽にぶつかってそれを自分にいったん取り込んだうえで自分の音にしてゆくようなところがあり、その迫力にはまつたく参ったというしかなかった。しかも彼女の使っている楽器はとても音が響き、この日は最前列で聴いていたせいもあって、音が大きな波となって押し寄せてくるようであった。特にチェロの低いほうの弦の音をあれだけたっぷりと聴かせてもらったのは初めてだったような気がする。
 長岡さんについては、恥ずかしいことながらこれまでまったく存じあげず、まったく予備知識なしでこの日の演奏を聴くことになったが、くせのない演奏をされるかただと思った。いうまでもなくべートーヴェンの弦楽器のためのソナタは、実質的にはピアノと弦楽器の二重奏なので、ピアノの役割はとても大切なのだが、長岡さんぐらいになるとそのあたりはわかりすぎるぐらいにわかっておられ、チェロとのバランスをうまく取っておられた(この演奏会のタイトルもデュオ・リサイタルなのである)。面白かったのは、ときどきチェロをなだめるような弾き方をされていたことで、まあこのあたりが重奏の面白いところである。ただ、アルゲリッチの演奏をCDで聴いてから来たせいか、早いパッセージになるとときどき指が回り切らないように聞こえることがあったが、もちろん音楽を損なうほどのものではなく、それはそれでひとつの味わいであった。
 アンコールはべートーヴェンのメヌエット。山崎さんがわざわざ「原曲はト長調なんですがそれを二長調に移調したものを弾きます」と断ったのは、いかにも山崎さんの飾り気のない率直な人柄を示しているようであった。このごろ音楽の真髄は大規模なオーケストラよりもリサイタルにあるような気がしているが、この日の演奏会もまさにそれを裏付けるものであった。音楽というものが最終的には演奏家の個性を聴くというものである以上、それは当然なような気がする。【安城市:T. S. 】

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房もも子 ピアノ・リサイタル
2002年11月28日 スタジオ・ルンデ
○昨年のリサイタル、聴きのがしたのが大変残念な気持ちにさせられる、そんな今夜のリサイタル、充分楽しませてもらいました。若さのエネルギーをいただきました。【無名氏】
○モーツァルト、シューマンではハラハラしたが、結果的にはとても面白かった。ファルティッシモが平板にならぬように。アンコールのショパン、良かった。【無名氏】
○ガムランの三曲がよかった。なるほど解説を知って聴くと、ドビュッシーもいつもよく分からない曲と思って敬遠してきたがとてもよく分かる。ドビュッシーが感じた不思議な驚きが伝わって来るようだ。ゴドフスキーの“ガムラン”はそのままガムランの音響そのものでした。演奏者がバリに愛着を持ち、ガムランからエネルギーをもらっているとコメントがあったが、まちがいなくピアノの演奏に表れていると思いました。バリの衣装が似合うすてきなピアニストです。そのあとのガーシュインも、力強い演奏で楽しかったです。【中村区:M. I. 】
○今晩初めてもも子さんの演奏を聞かせて頂きました。ピアノからこんなにエキゾチックなメロディが流れるように聴こえ、とても感動しました。私はバリには行ったことがありませんが、目をつむっていたらバリの風景が浮かんで、とてもいい気分になりました。これからも素晴らしい活動をお祈りします。ありがとうございました。【無名氏】
○モーツァルトからガーシュインまで見事に演奏されたのは驚きです。久々のガーシュインでしたが、何か元気が湧いてきましたありがとう。
 ガムランは初めて耳にしましたが、心打たれるものがありました。これを南の国で聴いたらもっと感動するでしょう。今後ますますご活躍されることを心より祈念いたします。ありがとうございました。
【緑区:Y. S. 】
○ガーシュインが聴きたくて来ましたが、ガムランの音楽を興味深く聴かせてもらいました。演奏もすばらしかったですが、トークと衣装も大変よかったです。もっと大勢の人に聴いてほしかった。【千種区:K. H. 】
○馴染みのある曲で、とても楽しく聴かせて頂きました。ガムランをピアノで聴くのははじめてでしたが、心にしみるいいものだと思いました。これからもこんな楽しいコンサートをお願いします。【名東区:S. S. 】
○特に第2部……コスチュームもピッタリでとてもチャーミング。何かジャズのキースジャレットのケルンコンサートを思い出しました。とても素晴らしかったこのひと時共有できた事をうれしく思った。又、機会が有ればコンサート、楽しみにしています。【鈴鹿市:Y. O. 】
○いきなり誰でも知っている曲でスタートというのも、結構演奏者としては大変かと思いますが、前半2曲、楽しく聴きました。いい表現だと思いました。第2部のガムランをイメージしたピアノ曲3曲、とても面白く、またよい演奏だったと思います。第3部ガーシュインもさすがです。思いの他おとなしかったですが。
 それにしても、ジャズっぽい曲のあとで美しいショパンのノクターンの世界に切り換えられる才能もすごい! 曲の雰囲気に合わせたコスチュームもみごと!【緑区:K. I. 】
○お客さんを無条件に嬉しがらせてしまう、稀有な資質に恵まれている不思議な人。だからこそ、もっともっと成長して、音楽でも立派に勝負出来るようになってください。【無名氏】

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永野英樹 ピアノ・リサイタル
2002年11月23日 スタジオ・ルンデ
○初めて永野さんを聴きましたが、素晴らしいピアニストでした。ブーレーズ、リゲティの曲は聴いたことがありませんでしたが、シャープで切れ味の鋭い永野さんのピアノで聴け、最高でした! 音の重なりがとても楽しめました。
 大曲のあとのアンコール2曲、リリシズムあふれ、また違う味わいで格別に美しかったです!【緑区:K. I. 】
○超一級のコンサートでした。【名東区:M. Y. 】
○貴重なひとときをすごした気持ちです(めったに聞けないピアノ……という)。アンコールの曲、何ともいえない幸せな……とろけるような感じでした。【緑区:Y. M. 】
○ピアノが、こんなに沢山の音を持っていると初めて知りました。私はブーレーズ:アンシーズが特に好きでした。力強さと繊細さを両方持った、すばらしい演奏だったと思いました。家に帰ったらもしかしてピアノに向かうかもしれません(ほんとうに下手ですが)。【緑区:S.T. 】
○今を共に生きているブーレーズの作品の生演奏で初めて聴きました。ピアノの全てほ余すところなくつかって、大変響きの(もちろんリズムも)おもしろい音楽ですね。それを英樹さんの演奏できくことができ、来て良かったです。
 ラヴェルの最初の一音から素敵な音でした。【緑区:M. I. 】
○全体的に選曲と曲順がよかったです。なかなかきく機会のない曲をきくことができました。
 前半ではリゲティに集中力を感じました。後半のリストは何度かきいたことのある曲ですが、新しい光にてらされたような印象をうけました。【名東区:Y. M. 】
○さても美しい音を出す人ですね。ここでは沢山のピアニストを聴きましたが、同じピアノがこんなに様々な響きを発するとは、面白い!【無名氏】
○素人なので具体的なことはわかりまぜんが、とにかく「すばらしい」の一言です。感動しました。【南区:S. & R. 】

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ユーリ・ブラジンスキー ヴァイオリン・リサイタル
2002年10月25日 スタジオ・ルンデ
○鬼才という名に恥じないヴァイオリン奏者でした。ヴァイオリンが体の一部のように自在にコントロールでき、実に多彩な音色でオペラアリアの変奏曲を楽しませてもらいました。【中村区:M. I. 】
○前半、愛好の2曲でしたが、ブラジンスキーさんのヴァイオリンは、まさに「熟達の技」という感じで、楽しめました! 原田さんのピアノの出来も素晴らしく、若い人ながら、たのもしく思いました。
 後半とアンコールのブラジンスキーさんのヴァイオリン、名手には余人には出来ないどんな曲の楽しみ方もある、ということを感じさせるもので、こちらも楽しみました。今宵も楽しいコンサートでした!【緑区:K. I. 】
○昨日、今日と二夜続けて、ウィーンとロシアの最高峰のヴァイオリンを聴くことができ、言葉もありません。人生最高の幸せです。昔なら王侯貴族の生活でしょう。ヨーロッパの音楽を愛する人々もこのような演奏はめったに聴くことはないと思われます。ルンデのすばらしいマネージメントに心より感謝。【無名氏】
○ブラジンスキー氏はベルリン交響楽団日本公演のソリストとして来たのだが、スケジュールが空いたのでソロ・リサイタルをやろうということになったらしい。ところが伴奏者を連れてきていないので日本で調達する必要があり、以前にバルトークSQの公開レッスン等でいい音楽性を示していた原田さんに白羽の矢を立てたのだそうだ。
 時間になって両者登場。関心はやはり原田さんであるが、ごく普通の感じの人で、あまり音楽家らしくないが、実はこういうことが聴衆との間で心の通った音楽を作り出すためのひとつの要素なのではないかと思う(近寄りがたいような雰囲気のある演奏家もそれはそれでひとつの形ではあるが……)。
 ドヴォルザークのソナチネから始まったが、ブラジンスキーという人は実に何気なく音楽を作ってゆく人だなあという印象を受けた。まあこれは曲目のせいもあるだろうが、気取ったところが全然なく、肩に力が入っていない。それでいて何となく貫禄のようなものを感じさせるのはさすがである。さて、原田さんであるが「合わせ」ということに関してはもちろんまったく問題はなかった(あとで聞くとプラジンスキーという人はステージ・リハーサルというものをほとんどやらないのだそうで、それでうまく合わせてしまう原田さんもたいしたものである)。ただ音楽というのは合わせればいいというものではないことはもちろんで、共演者がその音楽に何を感じ、何を表現しようとしているかを知って、自分の音楽もそのように持って行かねばならない。これは練習の回数を多くすればできるというものではなく、音楽家としてのカンのようなものである。この日の演奏では二人の演奏の間にはまったく違和感がなかったが、これは原田さんのほうにそういったことを感じる能力が備わっているということだったろう。
 ドヴォルザークは何となくのどかな感じで終わったが、ブラームスになってかなり雰囲気が変わった。まずブラジンスキー氏の表情が厳しくなった。そして演奏がかなり起伏に富んだ激しいものであった。この曲はそもそも暗い情熱がほとばしるような曲であるが、プラジンスキー氏の演奏はその情熱的な部分をことさらに強調しているようで、この曲はこんなふうにも弾けるのかと思った。ただ、第二楽章になるとこれはまた情緒纏綿と心にしみいるような歌がうたわれ、これは脱帽であった。そしてフィナーレがまたすごかった。この日の演奏を聞いていると、この曲はフィナーレにブラームスの情念がすべて込められており、それ以前の楽章はフィナーレに至るまでの準備だったというふうに聞こえたのであった。
 ところでいうまでもなくこの曲はピアノ・パートが重要で、ときにはヴァイオリンを従にしてピアノが前面に出てくるようなところがある。従って、原田さんが世界第一級のヴァイオリニストを相手にしてどんなピアノを弾くかということが注目されたが、これがまったくヴァイオリンに負けておらず、変ないい方だがヴァイオリンが丁丁発止と打ちかかってくるのを見事に受けとめて打ち返しているようであった。
プログラム後半は、ブラジンスキー氏のいうエンターティンメント音楽のオンパレードで、ヴァイオリンのあらゆる技巧を披露するような曲が三曲演奏された。まあこういう曲は音楽性がどうのこうのというより、ひたすらにヴァイオリンの妙技を楽しめばよいので、気楽に聞いた。ただ、変な話であるが、見ているととても大変なことの連続なので、弾くほうはさぞ大変なのだろうなと思うと、素直に楽しむことができなかったのも事実である。しかしそれにしてもすごい技巧の持ち主である。面白かったのは、それぞれの曲を弾きおわったとき、ブラジンスキー氏が「どんなもんだい」という表情を見せたことで、これは大変に人間的であった。それにしてもこの日の演奏はまで魔法を見ているようで、「快演」というより「怪演」に近かった。
 アンコールの最初はなんとかいう人の「ユモレスク」であったが、これはおどけたダンスのような曲でときどきはおふざけも入り、まあデザートのようなものであった。そして最後に「タイースの瞑想曲」を日本語で「メイソウキョク」と紹介したうえで弾いたが、これは香り高い食後のコーヒーであった。あとで考えてみると、ヴァイオリン演奏のいろんな面を全部見せてもらったような夕べで、ブラジンスキー氏のサーピス精神には感心した。原田さんについてはまだまだ未知数だとはいえ、音楽についての柔軟性はたしかにあり、これからは自分の音楽をどれだけ作ってゆけるかが修業のしどころであろう。【知立市:T. S. 】

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若林 顕 ベートーヴェン後期ソナタ集
2002年10月5日/11月10日 スタジオ・ルンデ
○ダイナミックで情熱的なベートーヴェン! ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタの何たるかを解していない私ですが、第28番も若林さんの演奏を聴きとても良い曲と分りました。ハンマークラヴィーアはベートーヴェン自身が弾いているような気になる表現法で、素晴らしかった!アダージオが美しかったです。
 表情づけの素晴らしい、楽章間の対比の非常に美しいベートーヴェンでした。特に最後の第32番はダイナミックで、良かったです。【緑区:K. I. 】
○ベートーヴェンもすごい音楽を(ハンマークラヴィーア)書いてしまったもので、またそれを真正面からいどむ若林さんのすごさに興奮しました。
 2日間、ごくろうさまでした。ありがとうございました。私見ですが、「31」、「30」、「32」と前二つを前後していただいた方が……と思いました。最後はやはり「32」ですが。
 注文があります。是非、若林さん流で結構ですから、バッハに挑戦して頂きたいものです。【昭和区:N. T. 】
○やはり「ハンマークラヴィア」が圧巻でした。
 とてつもないスケールの曲ですが、四つの楽章が連続して演奏され、さらに大きなものになりました。力強く深いタッチはベートーヴェンそのものですね。とてもスケールの大きい演奏でベートーヴェンの後期全曲を聴きました。最後のソナタの変奏曲は精神的な美しさに、高揚感と浄化される時間となりました。【中村区:M. I. 】
○ピアニストの感情表現が伝わりました。【中川区:M. F. 】
○格調高く堂々たるベートーヴェンで、大感激でした。第一夜は日程上来られなかったのがとても残念でした(29番がどんなスケールだったか、と想像します)。休日の午後、というせいか、少し聴衆が少な目だったのが、惜しい惜しい!【南区:N. I. 】
○32番の第2楽章は出色でした。この曲を何十回否何百回となく聴いてきて小生なりの音楽的イメージをもって若い人たちの32番を聴いております中、若林氏の演奏には感涙するほどの深さ豊かさを覚えました。以前井上氏が新聞紙上で氏が若い頃の32番への思いを語っておられましたが、若林氏にもあるいは同様のものを感じておられるのかもしれません。益々のご活躍をお祈りいたします。また、今後とも機会あらばお聴きしたいと存じます。【緑区:I. A. 】
○たいへん哲学的な音だと思った。是非別のプログラムで又聴きたい。【無名氏】
○聖なるしらべを、たっぷり聴かせていただき、胸がいっぱいです。いつまでも、聴いていたいと思いました。【額田郡:S. S. 】
○単音(中音〜中高音)がまろやかできれいだった。とても大切にていねいに弾いているのが分かった。トリルも(30番)きれいに響いていてよかった。若林さんが今日のピアノをほとんどコントロールしていれば別だが、他のピアノだとどのように響くのだろうか。【岡崎市:K. N. 】
○ベートーヴェンと真正面から対峙した、心揺さぶる演奏だったと思いました。10代の頃から第一線を走り続けていらっしゃる若林さんですが、奇をてらわない温かなお人柄がにじみ出ていましたね。真実の熱い思いが伝わってくる演奏会で、帰るときには、若林さんに感謝と尊敬の気持ちでいっぱいでした。
 アンコールの昔のLPを思わせるような枯れた感じのシューベルト“楽興の時3番”も心にしみました。若林さん、ルンデさん本当に有難うございました。【天白区:Y.N.】

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御喜美江 ファンタスティック・アコーディオン XVII
2002年9月27日 スタジオ・ルンデ
○「つかれた太陽」がとても印象的でした。アコーディオンのコンサートは初めてだったので、ベース、バッキング、メロディーが同時に聞こえ、音色やフィートが変化する、ということに驚きました・・・。【中区:Y. K. 】
○アコーディオンの生演奏を間近でみたのは初めてでしたので、とても感動しました。哀愁のある音色の中でこれほどまでに表現力のある楽器だとは思いませんでした。曲も、表題がよくわかる選曲をされており、感慨深く拝聴いたしました。【豊田市:K. T. 】
○真近でアコーディオンが見れて、すごく手の動きに興味を持ちました。小学校の頃に触ったアコーディオンと違ったので驚きました。弾き方も御喜さんの音楽が伝わるので、とても良かったです。空気の送り方で、あんなに細い音が出るとは思わなかったし、強弱がすごくはっきりしていて良かった。タンゴが好きなので、演奏して下さって、よかったです。歯切れのいいリズムが好きです。【北区:T. K. 】
○とにかく素晴らしい! 表現力の豊かさにおどろき、感動しました! まるでアコーディオンじゃないみたい。ここまで出来るのか、という感想を持ちました。 タンゴも非常にたのしかった! 又の機会にふれたいと思います。【S.T.】
○もはやなつかしくさえ感じるラモーやグリーグの曲と共に、新しい曲がたくさん聴け、幸せでした。グバイドゥリーナもだいぶ聴きやすくなり、奏法上の楽しみも分かってきました。後半のタンゴ特集も楽しかったです。AYUOのタンゴ、雄大でした。御喜さんの演奏、何度聴いても、いつも生き生きしていて、素晴らしいです!【緑区:K. I. 】
○最初の一音で引きつけられました。ラモーってこんな曲だったかなと思う間もなく、まるでこの楽器のために作曲されたように響きます。指が鍵盤の上をなめらかにはい、風が鳴らしているかのように音楽がきこえてきます。アコーディオンは、伴奏とメロディーという固定したイメージをかえてしまう多彩な音響と音楽でした。指のコントロールで、多声の音楽がきこえ、豊かなイメージがふくらみます。ほとんど初めての曲ですが、みんなよかった。【中村区:M. I. 】
○以前より一度聴いてみたいと思っていた御喜さんのアコーディオン。本当に良かった。楽器の可能性と胸にぐっとくる音楽性、シビれました。【R. Y. 】
○音の魔術師に出会えた喜びにひたっている。特に“深き淵より”は、奥深い暗やみから、現代を読む力強さを感じた。ラモーから現代まで、意味深い言葉で活動される姿勢に、本当の意味でのエンターテイナーだと思った。すばらしい秋の一時だった!【N. N. 】

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児玉 桃 ピアノ・リサイタル 〜 メシアン:みどり児イエスに注ぐ20のまなざし
2002年9月22日 スタジオ・ルンデ
○児玉桃、メシアンはどちらも初めてなのでどんな演奏をするのか? と思っていたが、時には力強くメリハリの有る演奏で、2.5時間があっと言う間であった!【鈴鹿市:Y. O. 】
○児玉桃さんのメシアンも本当に本当に本当にスゴかった! 一生の間にこの曲そのものも中々聴くチャンスはないでしょうけど、また素晴らしい名演でした。【R. Y. 】
○大変感動致しました。会場の良さも認識しました。後半、ノエルのあたりから私にはよくなってきたように思います。心洗われました。ありがとうございます。音響的にはタチアナ・ニコラエワさんの音色。児玉さんのメシアンの響き、忘れられないと思います。【名東区:S. M. 】
○「まなざし」という怪物をリラックスした空間で本当に出会うことができて、ありがとうございました。名演でした。【無名氏】
○全曲通して聴けたので大変よかったです。すべてテンションの高い曲なのに素晴らしい集中力で演奏されて感激しました。これからもフランス近現代の曲を取り上げて下さい。【中区:K. T. 】
○和音のおもしろい変化と多彩なリズムできかせる音楽と思っていたが、タイトルを確かめながら聴くと、音楽が表情豊かで、音にも奥行きがあり情景が見えてきた部分の空気も浄化されるのでした。大変テンションの高い曲ですし、演奏はそれに倍するテンションの高さで、見事でした。演奏者の親指にばんそうこうがあり、この日のための修練が想像できました。【中村区:M. I. 】
○メシアンが大変よく理解出来ました。素晴らしかった!! 色々聴いていますが、児玉さんのような表現力のすごい人は知りません。今は世界一かも。もっともっと名古屋に来てほしいピアニストです。【熱田区:Y. T. 】

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オーケストラ・アンサンブル金沢第18回名古屋定演
2002年9月16日 愛知県芸術劇場コンサートホール
○この度のクレーメルのキャンセルは本当に残念でした。クレーメル目当てに今回のチケットを購入した私、会場入口の“お知らせ”を見つけた時はまさか・・・と思いましたが、その告知内容を読んでそのまさかが書いてあったので、読んだ瞬間は大ショックでした。正直言って、キャンセルして帰ろうかなぁとも思いましたが、前回のベートーヴェンシリーズで、とてもすばらしい演奏を聞かせてくれたOE金沢だから、今日もきっと私の期待を裏切らないだろうと、気を取り直して会場入りしました。そして公演を聞いて・・・。やっぱりOE金沢は私の期待を裏切りませんでした。
 以下各曲のつたない感想を書かせて頂きます。
1) アウアバッハ:ゆううつな海のためのセレナード
 初演魔といわれる岩城さん、やっぱりきましたか、初演もの。不思議な心地よさを感じる曲でした。聞いていて、そうですね、夜明け前の凪いだ海に小舟でただよっている感じがしました。一人海の上に漂うさみしさと、夜明け前の光とも言いがたいかすかな光のあたたかさ、ほの暗い明るさを感じました。とてもきれいな曲だと思いました。こういう曲はどんどん再演されてほしいと思います。
2) チャイコフスキー:ゆううつなセレナード
 チャイコフスキーらしい一品。ダウスさんのヴァイオリンの音色はとても美しく、曲の美しさ、音の美しさにうっとりです。こういった小品は意外に実演にふれる機会がないので、生で聞けてとても良かったです。
3) ベートーヴェン:トリプルコンチェルト
 クレーメルで聞けなくて本当に残念。でも今日のトリプルコンチェルトはとても良かったと思います。何が良かったかと言うと、とても若々しい演奏だったこと。何といいますか、手垢にまみれていないとてもフレッシュなトリプルコンチェルトだったと思います。ベートーヴェンと言うととかく精神性云々とか、音の構築性云々と言われますが、私はベートーヴェンの魅力の一つには、若々しさだと常々思ってます(ちょっと青くさい部分も含めて)。そのベートーヴェンの若々しさを感じることのできた良いトリプルコンチェルトだったと思います。
4) 交響曲第5番「運命」
 私は、今月の初め9/3にチョン・ミョンフン/東フィルの同じく「運命」を聞いています。それと比較するという訳ではありませんが、今日のOE金沢の5番は、とても自然で、私はむしろチョン・東フィルの運命より感銘を受けました。ベートーヴェンのこの曲とか、第九は本当、苦悩をつきぬけ云々とか、指揮者はこの曲をこう解釈して云々など言われて本当うっとうしいと思うのですが、今日の5番はそういったベートーヴェン観だとか、指揮者の解釈などすっとばして、純粋に楽譜からおのずと生まれて来る力強さ、推進力みたいなものが聞こえてきて、私はすごく良かったと思います。特に、3楽章から4楽章に入ってゆく部分の自然な盛り上がり、推進力は、聞いていてとても幸福に感じました。チョンの5番は、指揮者と個性、感情移入の激しさで聞く5番だとしたら、今日のOE金沢の5番は、5番という楽曲の楽譜から自然に導かれる力強さだと思います。自然(じねん)な5番、こんな5番初めて聞きました。アンサンブルの美しさもGood。OE金沢はホントお世辞でも何でもなく聞くたびに成長しているなぁと実感させてくれるすばらしいオーケストラだと私は思います。
 最後にOE金沢のこと・・・本当にすばらしいオーケストラだと思います。何がって、日本の他のメジャーオーケストラ、特に東京のオーケストラはちょっとエンターテイメントに走っているところがあるというか、聴衆に媚びている様なところがある(集客をものすごく意識している)ところがあるが、OE金沢は、純粋に音楽のすばらしさを提供してくれていると私は思う。それは多分、金沢という立地に負うところが大きいのではと思います。東京の様に経済という力におされることなく、音楽ができる。又、金沢という、日本の伝統、文化、風土のすばらしい所で育まれる音、そうです、育まれる音の良さなのです。とてもおおらかでナチュラル、日本の中では唯一無二の存在だと思います。そして多分、石川県立音楽堂というすばらしいホールを得たことも音質の向上に一役買っていると思います。今後もぜひこのホールでOE金沢の響きを聞いてみたいと思います。
 OE金沢の今後の御活躍とクレーメル氏の1日も早いご病気の回復を祈りつつ・・・。そして、岩城さんも大病をされた後のお体、くれぐれも御自愛の程・・・。【知立市:E. A. 】
○岩城さん、お元気になられてよかったです!!! いつか、ずいぶん前になってしまいますかしら、舞台からスソに歩かれる姿がトボトボとしてらして驚愕した事がありますが、私の人生にも色々な事がありまして・・・。
 ベートーヴェン第5、死の床を前にして医者の従弟が枕辺に用意してくれたCDを聞きながら「モーツァルトばっかりや〜」、寡黙な父の一言。明治生れの父のクラシックファンにはベートーヴェンが聞きたかったのだ! それも「運命」が! それ以来、第5を聞く時は、なんとなく涙なしには聞けなくなってしまいました・・・。
 最初、ちょっと運命には小さなオケと思いましたけど、コンサートホール一杯、岩城さんの堂々とした指揮を見ていたら本当に大きく、すばらしかったです。感激をありがとう! マルタのチェロもステキでした。コンマスさんのヴァイオリンも。【無名氏】
○演目すべて、すばらしい演奏で、楽しくきけました。アンコールのマーチで、岩城氏のパフォーマンス、ステキでした。演奏終了後、舞台上で団員同志握手を交わす姿がとても印象に残り、心温まる思いでした。マイケル・ダウス氏の熱演に、熱いエールを送ります。【日進市:Y. N. 】
○毎回聴かせて頂いていますが、常にいい音をしていますね。月並みですがやはりベートーヴェン、チャイコフスキー、ブラームス、メンデルスゾーン等の時代の作品がいいね。今後のご健闘を祈ります。【尾張旭市:T. F. 】
○クレーメル氏が出演不可能となったのは残念でした。しかし、ダウス氏の演奏は素晴らしく、ダウス氏がソリストやコンサートマスターを務められる演奏会がまた開かれることを希望します。また、スドラバさんとズラビスさんのお二人の演奏も秀逸で、またぜひ来日されて、演奏を聴ける機会があるといいと思います。【無名氏】
○クレーメルさんのVnでなかったのは残念は残念なのですが、代演のダウスさんもさすがにプロ、素晴らしい演奏会でした。初演曲も良い曲だし、独奏Pf、Vcも、OEKのアンサンブルも、岩城さんの指揮も、座席にも大満足です。【緑区:K. I. 】
○ベートーヴェン 三重協奏曲:ピアノがとてもニュアンスに富み、よかった。
 運命:アンサンブル金沢らしい。アンサンブルのきれいな演奏でよかった。【中村区:M. K. 】
○最高にすばらしい演奏会でした。個人的にはマイケル・ダウス氏のソロがこんなに長時間聴くチャンスに巡り合え、(マイケル・ダウス氏の熱心なファンのひとりとして)この上なく嬉しく、大満足でした。ピアニストのアンドリウス、チェロのマルタ・スドラバ氏の若い外来の演奏者も熱演でした。
 演奏会の指揮者、演奏者、聴衆は運命共同体。返金を望む音楽愛好家はいないと存じます。まして、今日のように美しい気品溢れるコンサート。生涯で聴くことのできる数少ない名演奏。有難うございました。岩城先生、オーケストラ・アンサンブル金沢、ルンデ、演奏家に心から感謝申し上げます。【名東区:S. S. 】
○三重奏曲など、突然のハプニングによる出演者の交代も今日の演奏には関係なかったと思う。素晴らしいコンサートでした。【鈴鹿市:Y. H. 】
○Mr.クレーメルの演奏が聴けないのは残念であるが、代役が不足のない演奏で応えてくれた。又、演奏前に岩城氏がきちんとあいさつをしたこと、チケットの減額払い戻し等きちんとした対応も好感が持てた。最後に、アンサンブル金沢の質の高さには、いつもながら感心しました。【緑区:A. N. 】
○会場に来るまで誰がゲスト出演するのかすっかり忘れていたため、入口の掲示を見て初めて「クレーメル」が出る予定だったのかと知った次第。もっとも、クレーメルが聴けなくてがっくりなどというファンではなくて、返金してもらえてラッキーという程度のけしからん客ですので。ともかく公演中止でなかっただけでもよかったと思います。
 そんなワケで最初から得した気分になってたせいでしょうか。来日した二人のソリストの演奏がとても新鮮に思いました。とくにピアノの人がすごかったですね。ピンチヒッターとはいえ4連続演奏のマイケル・ダウス氏もすごいですね。ふつう、こんなムチャな演奏はしないのでは? 大した意気込みだなと思います。これもまた得した気分でした。
 後半の「運命」ですが、どうも勝手に思い描くイメージが強い曲なので、冒頭の部分を聴いた時は意外に速いなと思いました。でも全体通して聴くと重たさよりも力強さというか輝かしさがメインの曲でしたので、余り冒頭部分をもったいぶってやるよりも、これくらいの方がいいのかもしれませんね。アンコールの、近づいては遠ざかってゆく行進の様子を岩城氏が一人で演じられたのには笑ってしまいました。今日はとにかく「得した気分」の一言、ですね。【岐阜市:H. W. 】
○13日に東京のタケミツメモリアルでの公演も聴いたので聴き比べになりました。どちらも1番前の席でしたが、名古屋の方が舞台が広いため楽器の位置に余裕があり、響きが豊かに、バランスの良いものとなっていました。演奏も特にアウエルバッハの作品は名古屋の方が練れたものになっていたと思います。
 そのアウエルバッハ作品の初演ですが、武満さんへのオマージュとはいえ、内容はロシア出身者らしいショスタコーヴィチやシュニトケへの系譜が感じられるメロディや和声が聴かれました。激しい響きに武満さんにはない棘があります。しかし「現代音楽」としては判り易い曲です。
 ダウスさんの弾くチャイコフスキーの「憂鬱なセレナーデ」はクレーメルよりおそらく響きが豊かな正統派の表現で却ってよかったと思います。Vnソロに負けず劣らず管楽器のソロが活躍する曲であることが判ったのも収穫です。
 ベートーヴェンの三重協奏曲はお世辞にも名曲とは言えません。が却って独奏者の力量が試されるとも言え、興味深く聴きました。ピアノのズラビス氏が13日と16日とでは大分変わっていました。13日は弱音に美点が感じられましたが、16日は強音をたたみかけて煽る感じがしました。平凡なパッセージになんとか命を吹きかけようとしているかのようでした。チェロのズドラヴァ氏は安定感がありましたが、唸り声を終始聞かせているのがいささか気になりました。オケは13日の方が前衛的に聴こえたのはホールの音響のせいでしょうか。
 後半の第5は2年前にも名古屋定期でとりあげていたものです。名古屋水害中の演奏でおおいに感動したものです。最近はやりのベーレンライター版でなくブライトコップフ版を使用していましたが、表現は新鮮で、オケは熱意をこめて演奏していました。なんだかんだいってもやっぱベートーヴェンすごいとしかいいようがありません。最後の和音のティンパニがトレモロの前に2拍分1打ちしたのがいかにも旧楽譜。そういう意味では楽譜に忠実な演奏です。話はそれますが、たぶん業界の営業的な意図が働いているのでしょうが、最近ベーレンライター版が騒がれすぎだと思います。演奏者にとっては選択する楽譜は重要なことですが、それと音楽そのものの価値とは別次元の問題です。ベーレンライター版にあらずんばベートーヴェンにあらずという風潮はどうかと思います。旧楽譜で見事な演奏を聴かせた岩城、金沢をみてその感を深くしました。
 アンコールのベートーヴェンの「トルコ行進曲」ではもともと「パーカッショニスト」の岩城さんがトライアングルを持って登場しましたが、13日はオケの打楽器の位置に立ってらしたのに、16日はオケの前をまさに行進し会場を沸かせました。サービス精神に感謝です。【東京都:M. A. 】

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ルイス・クラレット 無伴奏チェロ・リサイタル
2002年9月1日 スタジオ・ルンデ
○一部も含め曲はよく聴いているのですが、久しぶりによく鳴る楽器で、生でバッハの無伴奏を聴きました。ルンデの空間によく音が響き、明瞭なフレージングで、曲そのものがよく楽しめました。素晴らしい演奏と思います。
 後半のコダーイは、生で聴く(観る)と、奏法上の魅力も一杯ですが、とびきりの素晴らしい演奏でした! アンコール2曲も楽しかったです。
 経歴より見て、すごいチェリストだろうとは予想していましたが、まったく期待をうらぎらない出来でした!【緑区:K. I. 】
○チェロの響きが素晴らしい。このスタジオの広さにちょうどよく合っているのだろうか? 音響効果もたいへん良い感じである。演奏は非常に正確で、端正な弾き方と思われる。重苦しくならず、甘くロマンティックにならず、オーソドックスな由緒正しいバッハの無伴奏という感じがするのだが、どうであろうか。やや、明るさを感じさせる演奏と思われるが、テンポの取り方によるのであろうか? さわやかな好感を持たせる響きの演奏である。【幡豆郡:M. S. 】
○コダーイは圧巻でした。バッハも同様に、直球的というか、小細工のない演奏はとても好感が持てます。【中区:F. K. 】
○チェロの演奏を生で聴くのは初めてだったのですが、とても良かったです。又、会場の広さ的にもとても近くで聴くことが出来て、迫力がありました。特にコダーイは素晴らしかったです。【東区:K. M. 】
○名前をきいたことのない奏者でしたが、とても熱のはいった演奏が聴けて良かったです。ルンデは“会員制”みたいにきいていたので、マニアックな人達ばかり来ていて居心地悪かったらこわいなと思っていたのですが、演奏者の緊張感が伝わってくるホールでとても楽しむことができて良かったです。ありがとうございました。【K. I. 】
○毎回、良い演奏を楽しませてもらっていますが、今回の演奏は「格」の違いを感じるほど素晴らしかったです。前半、バッハの骨太な表現は、響きの豊かさと共に楽しませてもらいました。後半、コダーイはバッハと対照的に、前のめりになるくらい、聴かせてもらいました。【東区:J. I. 】 ○チェロのお手本のような見事なコンサートでした。CDで聞こえるコダーイの多彩な音色がこのようにして作られる様が、目前で確かめられました。また、CDで聴くソナタが単楽章のように聞こえるけれど、きちんと3楽章になっていて、それぞれ音楽の構造が手に取るように分かるのでした。それだからこそ、音楽として充実し、存分に楽しむことができました。【西区:M. I. 】

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第28回 木曽音楽祭 第2日
2002年8月24日 木曽文化ホール
○ 避暑地の音楽祭としては間違いなく日本での草分けである「木曽音楽祭」も徐々にファンを増やし、遂に今年は「全席指定」で対応せねばならなくなる迄に発展した。ご同慶の至りである。今年も一日を割いて、もっとも魅力的なプログラムと、独断と偏見で目したフェスティヴァル・コンサート II(8月24日)を聴きに出かけた。

 夕やみがかすかに漂い始めた頃、ホール前庭では、木曽駒を背景に篝火が焚かれ、三本のアルペンホルンがのどかなハーモニーを響かせる。無条件に嬉しくなる演出である。そして開場の合図は、今度は普通のホルンの四重奏という念の入れ方。いや、まだまだある。開演前の「1ベル」も、休憩後のそれも、ステージでのアルペンホルン・トリオ。(ここで、つい一言。とてものことに、どれもさして長く無い曲だから、なんとか努力して暗譜でやって呉れんかネ。麗々しく譜面台などおっ立てられると、折角の野趣が台無しになるんだがナァ。)
 さてコンサート。結論めいたことから先に言うと、今年は一味違った。申し訳ないが、とかくこの種「季節アンサンブル」は練り上げやつっこみが不足気味で、最終的に個人の力量や強力なリーダーに依存するお祭型の結果になるのが通り相場であるようだ。しかし今回はどうしてどうして、「結構やるジャン」と感心させられた。何があったか? これは出演者に聞いてみなければ判らないが、とにかく今迄に無い何かが、あった。

 この日のプログラムは、ベートーヴェン、レーガー、ニーノ・ロータ、ドホナーニ……と並ぶと、やはりベートーヴェンは遠い人、しかも15歳の時の作品ともなればモーツァルトが彷彿として、寺嶋陸也のピアノが佐久間由美子(fl)、岡本正之(fg)を叱咤激励して奮闘していたが、客席で安らかな寝息が洩れていたのもやむを得まい。

 続いて、山本正治のクラリネットを中心に、加藤知子(リハビリから復帰間も無いので、この音楽祭では予定より一曲負担を減らしたそうである)、川田知子、篠崎友美、山崎伸子でレーガーの五重奏曲。この顔触れから察するに、一番ノホホンとしていたクラ氏は、音合わせの時ギョっとしたに違いない。結果、美しく激しく迫る女性群の官能的な声部にからまれて、クラリネット固有のノン・ヴィブラートの凛とした響きが、一段と冴えわたった素晴らしい演奏だった。殊に第3・4楽章の濃密な表現は、この作曲家の特質を遺憾なく描き出した名演。これを聴くにつけても、クラリネット五重奏曲と言えば何を措いてもモーツァルト、たまにブラームス、が定番化されている感があるが、レーガーの味わいの濃さはもっともっと注目されて然るべきだと痛感させられた。
 因みにベートーヴェンの時の「呼び返し」の拍手がいささか儀礼的だったのに対し、この時は文字通り熱烈そのもので、しばし鳴り止まなかったのも頷ける。

「ゴッドファーザー」をはじめとする映画音楽の大家としては知られていても、かのカゼラの弟子としての「クラシック」作品は、日本ではまず演奏された事があるまい。その意味でまさに「珍曲」、九重奏曲という編成からも音楽祭ならではの儲け物であった。プーランクのような諧謔味もあるそれぞれ個性を持つ緩急五曲から成っていて、これは演奏者個々の技量も充分発揮出来、名曲の断片めいたパッセージが顔を出すのも、聴き易さに一役買っていたかも知れない。何せ、無条件に楽しめる曲であり、演奏であった。

 七時に始まったコンサートは、前三曲を終えた時点で、すでに九時になっていた。勿論一人も席を立つ者は無く、最後のドホナーニ。出演は、若林顕、久保陽子、服部譲二、市坪俊彦、堀了介。
 同世代の、バルトークやコダーイとは明確に一線を画し、またレーガーよりももっとロマン派正統の流れを汲むとされるドホナーニ。その作品1のこのピアノ五重奏曲は、しかしほかの誰でもないドホナーニの作品である。その情感溢れる音楽を支えたのは、服部・市坪の内声陣。彼等の野太いサウンドがこの曲に一層の重厚さと憂愁の趣きを与えていた。奔放な久保と隅々まで神経の行き届いた若林のピアノ。そして終楽章のクライマックスでは、そのピアノが男性ならではの(許し賜え、女性方)豪快さで和絃を刻み込んでゆく。まさにピアノ五重奏という演奏形態の極致を見る想いがした。いつまでも途絶えない拍手の渦……。確かに、この音楽祭ではかつてない充実感を覚えたことだった。【東区:M. S. 】

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渡辺克也 オーボエ・リサイタル
2002年8月6日 スタジオ・ルンデ
○実に楽しいコンサートでした!  素晴らしい名手によるオーボエの音色、自在な編曲、楽しいピアノ、室内楽の楽しさをあらためて味わわせてもらいました。
 もし子供たちがこういうコンサートでオーボエを聴いたら、やりたくなる子供が増えるでしょうね。
 ピアニストもとってもユニークで、聴いていて楽しかった。【緑区: K. I.】
○オーボエリサイタルは聴いた事がなかったので、初めて来ました。素晴らしい音色に只うっとり、本当に心和む一時でした。
 2ヶ月前に急逝した主人がいたらどんなに喜んだ事でしょう。主人の分迄きいて帰ります。ありがとうございました。【四日市市:N. S.】
○オーボエとピアノのみの演奏会は初めてでしたが、空間に音楽が流れると、曲ごとに違う世界が現われて、あきさせませんでした。
 ステージと客席の近いことも、より迫力を強め、曲を楽しめる結果になったと思います。曲を楽しむことが本意なので、どうかと思いますが、曲の紹介などが時々入ると私などはとてもうれしいのですが(プログラム完了後のトーク入りの演奏はとてもうれしかった。)。
 (ルンデは)小ぢんまりとした空間の中で落ち着いた雰囲気でよかった。【S. S.】
○前から聴きたかった渡辺克也さんのリサイタル、とてもよかったです。丁寧な吹き方と、音色の柔らかさがとても心地よいです!
 Pfの山田さんは今回初めて聴きましたが、伴奏がぴったりあっていて、盛り上げたり、泣かせたり、とてもよかったです。リストもよかった。また二人のコンビでいろいろ聴きたいです。
 (ルンデは)とてもいいスタジオですね。本当に聴きやすい。響きが「量より質!」とあったので期待してきましたが、全くその通りでした。ルルーも来てるし、誰かob好きの方がいるのでしょうか? 京都に下宿していて実家の愛知で演奏会に来るのは久々ですが、これからは帰省の度に、コンサートのチェックをしようと思います。oboe吹きをたくさん呼んで下さい!【京都市:K. S.】
○この音楽会は「オーポエ・リサイタル」なので、ピアノ・ソロについての感想を真っ先に書くのはいけないことかもしれないが、オーボエの渡辺さんとピアノの山田さんは芸大時代からの親友で、コンクールにも一緒に出たということなので、ピアノ・ソロについての感想をまず書いても渡辺さんが気を悪くすることはないであろうという前提で書くと、プログラムの最後のほうでピアノ・ソロで演奏された「ピアソラのリベルタンゴ」が滅茶苦茶に面白かった。まず山田さんが椅子に座らず立ったままでピアノを弾きだしたのでおやおやと思ったら、ちょつと弾いたところで「これはいかん!日本の心が入っとらん!」と気合いが入り、そこではじめて椅子に座って本格的に弾きだした。そしてはじまったのがまことににぎやかな音楽で、どうも日本の民謡がいろいろ入っているようだったが、掛け声も入るし、とにかくピアノがわんわんと鳴り響き、いってみれば「愉快ピアノ」の妙技を存分に聞かせてもらった(一応譜面台に楽譜が置いてあってときどき見ていたが、いったいあの楽譜には何が書いてあったのだろう?)。これは実に愉快千万だったし、音楽のひとつの形を見せてもらったようで感心した。山田さんが休憩前に弾いたリストの曲も、どこまで楽譜に忠実だったのかは知らないがまったく縦横無尽、自由自在という感じで、これも頭のなかのもやもやが全部どこかへ行ってしまうようであった。
 さて、オーポエであるが、これまた文句のつけようのない演奏であった。聞くところによればオーボエという楽器はかなり微妙な楽器で、しかもリードを上手に作らないと音がうまくでないらしく、技術的にとても難しい楽器らしいのだが、この日の演奏はそんなことをまったく感じさせなかった。これまた妙技の連続であった。ところでこの日渡辺さんは「聴かせどころ」として二つのポイントを準備していたようである。一つはオーポエの限りない叙情性を際立たせる音楽で、特にオペラのアリアをオーポエで吹くというのはまことにぴったりであった。歌を器楽で演奏する楽器としてオーボエに勝るものはおそらくないであろう(音域としても人の声一特にテノールーとちょうど同じぐらいである)。もうひとつはきわめて早いパッセージを目にもとまらぬ早さで吹くという音楽で、この極致は最後に演奏されたパスクックの曲である。そして渡辺さんはこのどちらもほとんどミスなしで完壁に演奏した。こういう小曲をたくさん演奏するというのは演奏者の負担が大きいと思うが、聴いているほうはたいへんに楽しかった。
 リサイタルということで、一つぐらいはソナタがないといけないと考えたのか、サン”サーンスのソナタが休憩後の最初に演奏され、これはいわば前に書いた二つの点の両方が入っているような曲で、もちろん見事に演奏されたが、何だかここだけ別の世界に入ったような気がしたぐらいである。まあベルリン・ドイツ・オペラの首席をやっている人だから当然ともいえるが、オーポエがうまいというのはこういうことかとほとほと感心した。プログラムが終わってアンコールになったときのおしゃべりがまた楽しかった。山田さんとの関わりを話し、これから演奏する曲についての想いを語り、しかもそれらがなかなかに軽妙でもありかつ感動的でもあって、これまた楽しい時間であった。クラシックの音楽会というと「音楽こそわが命」みたいな感じで終始する場合が多く、まあそれはそれで快いものであるが、この日のように演奏者が自由自在に音楽を操ってみせてくれる音楽会も実に楽しい。それに二人ともサービス精神がたっぷりでこれまたとても後味がよかった。満足できた音楽会であった。【安城市: T. S.】

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漆原啓子 ヴァイオリン・リサイタル
2002年7月14日 スタジオ・ルンデ
※このコンサートは当初予定の加藤知子体調不良のため、漆原啓子に代わって行われた。共演ピアノは林絵里。

○気持ちのよいコンサートでした。シュニトケは印象深く、たのしかったです。【Mu】
○たいへん意欲的なプログラムですてきなヴァイオリンを堪能しました。R.シュトラウスは、やはりオペラのオーケストラのひびきがします。シュニトケは、とびはねた音響の中から、祈りのメロディーが立ち上がってくる部分は感動的でした。ラヴェルのチガーヌもたいへんな熱演。ショーソンはむずかしい曲ですが、どの曲もびしっとフォーカスされた緊張度の高い演奏です。ピアノが大健闘でした。【中村区: M.I.】
○後半、シュニトケからがものすごく良かったです。弦がよく鳴っていて、聴いていてとても気持ち良かったです。シュニトケは次回も取り上げて頂けるとうれしいです。【守山区: J. I.】
○R.シュトラウスはシュトラウスらしい輝かしさが表現されていてとても素晴らしかったです。漆原さんはさすがですね。力強い音でありながら、デリケートな音色! ブラボーの一言です。音楽性もバツグンでした【天白区: H. M.】
○きゃしゃな体なのにとても力強い演奏でよかったです。現代曲は苦手なのでどうかと思っていましたが、一番集中力を要した曲で、大変楽しめましたありがとうございました。【海部郡: N. Y 】
○最初のソナチネ、とてもアットホームな感じのシューベルトでした。ピアノとのアンサンブルもてとも良いと思いました。R.シュトラウスのソナタは、梅雨空をはらうようなスカッとした演奏でした。あまり聴いたことはありませんが、曲もなかなか面白かったです。後半とアンコールの曲、全て、ソリスト漆原啓子の魅力を十分に楽しませてもらえる素晴らしい演奏でした。特殊奏法も素晴らしかったですし、ピアノがまた素晴らしくヴァイオリンと合ってました! それにしても「代演」でこのコンサートを楽しませてもらえるとは、やはりルンデの例会はすごい!【緑区: K. I.】
○この演奏会は当初加藤知子さんのプラームス・ソナタ全集のはずだったのが、加藤さんが右肩関節周囲炎とかで演奏ができなくなり、急遽漆原啓子さんのリサイタルになった。自分の場合漆原啓子さんは好きな音楽家のひとりなので全然問題なかったが、それにしても漆原さんのスケジュールがよく空いていたものだと思う。ただ、加藤知子さんの演奏会に来ようと思ったのはブラームスを聴こうということでもあったので、いつかはやってほしいと思う。
 さて出演者登場。一流の演奏家というのは舞台に出てきただけでもう聴衆を自分のほうへ引き込んでしまうものであるが、まさにそういう感じがした。これはCDでは絶対に再現できない。
 シューベルトはやさしい音楽かと思っていたら、いきなりかなり激しいテーマが出てきた。おやおやと思って改めてプログラムを見たらト短調で、なるほどと思った。シューベルトというと何となく牧歌的な音楽をまず思い浮べてしまうが、交響曲にも「悲劇的」というのがあるぐらいだから必ずしもそうではないのである。ただ何といってもシューベルトの曲だしソナチネだから曲想は平明でわかりやすく、漆原さんもときに感情の起伏を見せながら、全体としては抑えめな演奏であった。
 そしてシュトラウスのソナタになったが、ここでちょっとぴっくりしたのは曲の持っているフィーリングがシューベルトとはまるで違うことである。もっともこれはある意味では当然のことであるが、演奏するほうは切り替えが難しかったのではないかと思った。もっともそのあたりをさらりとやってのけるのが一流の演奏家というものだろう。漆原さんはまさに実力発揮という感じで、あるいは激しくあるいは静かに、まったく縦横無尽という感じで華麗な音楽の世界を展開した。そしてこのあたりから実は林さんのピアノに気を取られはじめた。実に上手なのである。寡聞にして林絵里さんというかたがどのような経歴のかたでどのような評価を受けておられるのかを知らないが、漆原さんを相手にして、出すぎず引っ込みすぎず、それでいて自分の音楽はちゃんと作っておられるので本当に感心した。
 休憩の後のシュトニケはこの日の一番の聞き物であった。これまたシューベルトやシュトラウスとはまったく違った世界だったが、とにかくインパクトが強烈で、なるほど現代世界で聴衆にアピールするにはここまでやらねばならないのかと思いながら聴いていた。ただ、逆説的なようだが、この曲は徹頭徹尾「遊び」の曲ではないかと思う。ピアノとヴァイオリンが、ときには一緒になり、ときにはそっぽを向きながら楽しく遊んでいる曲のように感じた。もっとも、楽譜にはおそらく目の玉の飛ぴ出るような難しいことが書いてあるに違いなく、それを「遊び」にするためにはよほどの技術がなければならない。そして漆原さんはいうまでもないが、林さんもまたこの曲を「遊ぶ」ための十分な技術と音楽性を持っておられるように感じた。とにかくこの演奏にはたいへん感心した。
 ショーソンとラヴェルはこれはもう漆原さんの手のなかに入っている曲で、これこそ縦横無尽に駆け回り、ときにはしっとりしたかと思うと盛り上がってゆくというわけで、半ば放心状態で聴いていた。こんなすばらしい演奏をこんないい雰囲気で聴けるというのは、とんでもないぜいたくなのではないかと思った。アンコールははじめに「愛の悲しみ」、次に「コレルリの主題による変奏曲」で、漆原さんが曲の紹介をされたが、それがとても感じがよく、自分がかねて漆原啓子さんに対して抱いていたイメージそのままで、うれしかった。いつも思うのだが、音楽の演奏を聴くというのは結局演奏者の人柄を聴くことだし、それは演奏者自身が目の前にいることによって一層確かなものになる。CDは所詮音楽の代用品にすぎないのだなあと改めて思ったことであった。【知立市: T. S.】

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今井信子 ヴィオラ・リサイタル
2002年6月9日 スタジオ・ルンデ
○Bachのcello solo 素晴らしかった。クーラントは大変説得力があり、チェロで弾くときもこのように弾かなければなるまいと感服させられた。
 ルンデは初めて参加したのが91年9月、10年経てますますいいサロンになりました。体調が許す限り参加したいものです。【津市:M. K.】
○フランクが、とてもよかったです。アンコールに、大好きなグラズノフを弾いて下さってとてもうれしかったです。ありがとうございました。【豊田市:C. K.】
○サラバンドがとろけそうによかったです今井信子さんはバッハ〜現代音楽までレパートリーも幅広くて素晴らしいですね。
 今回のコンサートでは、抒情的なしっとりした感じの曲が多かったですが、次回このような機会があればぜひヒンデミットを聴きたいです。でも、こんなまぢかに今井信子さんを聴けるなんて至福です。「ロマンス」は、けっこうお気に入りの曲なのでCDがすり切れるほど何回も聴いたのですが、今日あらためて聴いても、とても新鮮でした。【知多郡:K. I.】
○素晴らしい演奏で感激しました。どの曲も素敵でしたが、フランクのソナタが、改めていい曲だなと思いました。ありがとうございました。【千種区:H. S.】
○惜しげもないアンコール2曲の演奏のスピード。情感あふれるアンコール。こんなスマートなアンコールの在り方は初めて・・・。(いつもアンコールまでの拍手に疲れきるので)感激しました。【無名氏】
○ヴィオラの音色の大好きな私ですが、やや体調が悪く、一番ひかれた曲は、意外やヴォーン=ウィリアムスの小曲でした。バッハの無伴奏チェロ曲は、私にはチェロの方が聴きやすく感じました。【緑区:K. I.】
○とてもすばらしかったです。今井さんのような人に、名古屋にもっと来てほしいし、ルンデが休みの日の昼間にこういうコンサートを企画していただけるのが、とてもうれしいです(主婦はなかなか夜は出られないので)。【中村区:K. K.】
○今井さんのviola、相変わらず豊かで美しい音色で、奏でる音楽も彼女の人間性をほうふつとさせる暖かくてうた心溢れるものでした。【名東区:M. S.】
 今井信子さんといえぱヴィオラを弾くものにとっては高くそびえる塔のような存在である。日本のクラシック音楽のファンにヴィオラという楽器をしっかりと認めさせた人だといってもよい。ただこれまではあまりナマで聴く機会がなかった。一度電気文化会館でのコンサートを聴きにいったが、これはヴィオラのポピュラー・コンサートといった趣で、客種があまりよくなく、今井さんのほうも気乗りがしない様子であった。今回はルンデのコンサートで、聴衆はいうことなし。演奏するほうもこういったコンサートはありがたいに違いない。しかもこの日は満員の盛況で、鈴木さんもにこにこであった。
 そしてこの日のプログラムがまた大変なものであった。何しろソナタが三曲。しかもその内ひとつはバッハの無伴奏チェロの六番というのだから、これはまさにソリストが渾身の力をこめて演奏することを公言しているようなものである。しかもピアノが、ソリストでもあり作曲家でもある野平さんとあっては、こんなぜいたくなコンサートは滅多にない。まさにこれは音楽を知っている人のためのコンサートであった。
 まずブラームスの第二番のソナタからはじまったが、これはいわば今井さんの十八番である。しかしそれにしても普通ならプログラムの最後に押さえとして演奏されるべき曲を最初に弾くというのは、やはりそれだけ今井さんがこのコンサートを大切に考えているということだろう。曲そのものは耳に親しいものなので、聴きながら今井さんの演奏の魅力は何だろうと考えていた。まず音色であるが(これは楽器のせいもあるだろうが)、やや硬め。ヴィオラというとなんだかふっくらした音でないといけないような誤解があるが、今井さんの音は明確でよく通る。特にC線とG線はうっかりしているともやもやした音になりがちだが、ぼやけたところがなくクリアに音が届いてくる。またヴィオラにとって高いA線の音は一種の鬼門なのだが、今井さんが弾くとA線でも音に艶があり、耳に快く響く。つまり低音域から高音域まで楽器の鳴りかたがほとんど同じなのである。これは聴いているものにとってはありがたい。曲の扱いについては、あまり自分を主張せず、その曲が本来持っている雰囲気をなるべくそのままに保とうとしておられるように思えた。これはその次に演奏されたバッハについて特に感じた。もっとも、バッハの第六番は技巧的には大変な難曲で、自分などにはまったく歯がたたないので、まず演奏上の困難を克服してからでないと何も始まらないわけであるが、今井さんぐらいになると技巧的な困難さはまったくないように聞こえ、バッハの目指した世界が素直に再現されているようであった。今井さんの演奏は特に激しいというのでもないし特に穏やかというのでもなく、音楽が素直に聴衆に届いてくる。なるほどこれが今井さんの人気の秘密かと思ったのであった。
 ところが、休憩を挟んでの後半になるとちょっと様子が違った。まずヴォーン・ウィリアムスの二曲をかなりセンチメンタルに演奏されたので、なるほど曲が変われば演奏もこういう風に変わるのかと思っていたら、最後のフランクのソナタは(もともとこの曲がそういう風にできているということもあるが)かなり起伏の激しい演奏で、これはまさに息を呑む感じであった。楽章ごとの切り替えも見事だったし、例の循環主題が出てくるところでぱっと雰囲気が変わるのも鮮やかだった。そして最終楽章のテーマの歌い出しがまた絶妙で、ここでは涙が出てしまった。今井さんの演奏を単に「作曲者の意図に忠実」だと決め付けてしまってはいけなかったのである。むしろ「変幻自在」といったほうがよく、なるほど世界一流の演奏家とはこういうものかとつくづく感心した。なお、この曲はピアノの比重がかなり大きいが、さすがは野平さんである。今井さんをたてながら自分の音楽をちやんと作っておられた。
 全部の演奏が終わったとき、この日初めて今井さんがにっこりされたがこの笑顔がとてもすぱらしかった。演奏家にとってやはりこの瞬間を迎えるのが一番の醍醐味なのだなあと同感した。アンコールはまずグラズノフのエレジー。これはご自身で曲の紹介をされたが、二曲目は曲の紹介なしに弾きはじめられたと思ったら、クライスラーの「美しきロスマリン」であった。後味よくすっきりと終わった。
 こういう演奏会に接すると、音楽を聴く喜びをしみじみと感じる。【安城市:T. S.】
○さすが世界の今井! 堂々とした演奏ですね。ブラームスの大曲を1曲目に持って来ることができるのはすばらしいです。やはりすごい演奏だなと思いました。深い音色がすてきです。でも、高音はやや耳にさわる時もありました(ヴィオラってむずかしい・・・)。
 フランクのソナタはちょっと苦しそうにきこえるところもあった。ヴィオラで弾いてよかったところはアピールできていたと思う。グラズノフのエレジーはちょっと乱れが目立って残念。【K. T.】
○何とも魅力的な音色に心を奪われました。バッハも、フランクもまるきり違う曲のようです。とても新鮮でした。ボーンウィリアムスの小品や、アンコールの2曲、あのクライスラーも奥行きのあるビオラの音にぴったりです。【中村区:M. I.】
○バッハは素晴らしかったです。相当体力もいる演目と思いますが、最後まで重音も美しく、堪能しました。ヴィオラの暖かい音色と冴えに満喫しました。ルンデならこその臨場感あふれる演奏を満喫できました。【千種区:K. H.】

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フランソワ・ルルー オーボエ・リサイタル
2002年6月2日 スタジオ・ルンデ
○シューマンのアダージョとアレグロの対比、テレマンの息の長い部分のオーボエの吹き方も見事でしたが、前半ではサン=サーンスのソナタの緩徐部分の長い演奏が光りました。後半の名曲集と珍しい曲、オーボエでの「表現」ということで、とても興味深かったです。「白鳥」等、音色は異なっても、表現方法の基本に他楽器での演奏との違いのないことが確認できました。シルヴェストリーニの曲は、多彩なオーボエ奏法が楽しめました。
 ピアノ伴奏もオーボエとよく合っていて美しかったです。【緑区:K. I.】
○めったに聴くことのできないオーボエの世界的名手のリサイタル、すばらしく貴重でした。ピアノも美しい伴奏でした。何よりも本日は若い聴衆の参加が多く、活気があり華やかでした。【無名氏】
○とにかく素晴らしかったです。ルンデは室内楽の魅力、聴衆との近さ、息遣い、余すところなく伝えてくれると思います。この例会、長く、末永く続けて下さい。【南区:K. I.】
○最初のシューマンから音楽の世界にうっとりとしました。ピアノとのアンサンブルも良くとても暖かい心地のコンサートでした。
 ルンデは久しぶりに来ましたが、アトホームな雰囲気で室内楽を楽しめました。【Y. M. 】
○管楽器ソロ初めて耳にした。派手なフルートはなじみがあるが、あのオケのチューニングの時に発する楽器がこんなに優しい音色だとは思わなかった。選曲の妙だけではなかろう。奏者の技量あっていい調べになる。【無名氏】
○管楽器の例会に参加したのは、多分今回で2度目だと思います。オーボエといえば「オーケストラのチューニング」というイメージが強いですが、ソロ楽器としても表現力の豊かだということを再認識しました。シルヴェストリーニも面白かったですが、オーボエには、シューマンの様な旋律の綺麗な曲を朗々と歌うというのが合っている様な気がしました。【千種区:J. I.】
○シルヴェストリーニの音の絵は楽しかった。モネやピサロ、ブーダン、ルノワール等のそれらしい絵を思いうかべて聴いていると色々な音がきこえて来て面白かった。普段「真面目な」音楽ばかりきいているのでたまにこういう遊び心にあふれた曲は実によろしい。【北区:T. T.】
○響きに品があり、高音のロングトーンには、しびれました。聴くほどに気持ちがほぐれてきた、良いコンサートでした。また来ます。【守山区:J. I.】

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あしながガラ・コンサート2002
2002年6月1日 愛知県芸術劇場コンサートホール
○演奏家自身が弾きたい曲、興味のある曲にチャレンジしている様は気持ちの良いものです。皆さん聴く度に実力を着けているのは確かですが(磯田さんだけは今回が初めてですが)、第一線の演奏家の様に、観客を心から楽しませるという域にまで達していないのも事実だと思います。今後も研鑽を積まれ、魅力的な音楽家になられることを期待しています。
 永田真希さん:シャコンヌで聴衆を感動させるというのは至難の業だと思いますが、今後も研鑽を積み、弾き込んでいかれることを期待します。
 吉田文さん:なかなかパイプオルガンの生演奏を聴く機会はないので、あしなが関連のコンサートには感謝しています。折角の機会なので、もう1曲くらいソプラノとのデュオなんかがあると良かったかなと思います。
磯田未央さん:ソロにアンサンブルにと大活躍、お疲れ様でした。ソロではスクリャービンが良かったと思います。特にシューマン/幻想小曲集のpfが綺麗でした。
 酒井淳さん:シューマン/幻想小曲集の流れるような音楽が素晴らしかったです。ピアノトリオは、もう少し音量があった方がvn、pfとのバランスが取れて良かったような気がしました。
 星川美保子さん:デュルフレ/ピエ・イエズが良かったです。今度はフォーレのピエ・イエズを聴いてみたいです。【千種区:J. I.】
○美しくのびやかな優雅な音色と若々しい息吹がみなぎり心に安らぎと希望が満たされとても満ち足りた感動をいただきました。これからの皆様のますますのご活躍と又の演奏会を楽しみに致して居ります。ありがとうございました。【東郷町:A. T.】
○若いみなさんが平和の願いを歌ってくれた(アンコール「鳥の歌」)ことはうれしいことでした。今の時代に。【天白区:K. T.】
○Bach:大きな音でいっぱいに楽器を鳴らしていてよかった。演奏する思いが聴く方にも伝わるには、さらにひきこむことが必要だ。それにしてもむずかしい曲ですね。
 スクリアビン:きれいな音でつぶだちもよくいいピアノだった。ショパンもきれいだが、きれいな中で芯がある主張がきこえてくるとよかった(おこがましいが)。
 第2場の三つの演奏はどれも楽しめました。すばらしい演奏でした。
 オルガンは、ストップの選択もよく考えられて、音楽の形が良くわかり、奏者の個性が伝わりました。こういうフランスのオルガンなら聴いて楽しいです。チェロはもう一流と言っていいのではないでしょうか。ソプラノもホールの反響がきれいでよく声が伸びていました。
 シューマンは、ヴァイオリンのひとひきからシューマンの響きで、あまり演奏会でもとりあげられないけれどかかんにチャレンジしてりっぱな演奏だと思いました。
 あいさつにひきずられて批判的に聴き始めてしまったけれど、結局どの曲もバラエティに富んでいてすっかり楽しんでいました。
 アンコールも一期一会で忘れられない演奏になりました。【中村区:M. I.】
○いろいろな楽器、工夫されたプログラムで最後までたのしませていただきました。どなたの演奏もすばらしく感動いたしました。個人的にはパイプオルガンが好きなので、文さんをずっと応援していきたいと思います。【無名氏】
○最後のアンコールの「鳥の歌」が素晴らしかったです。
 いろいろな組み合わせになったのは、演奏する人にとっては、けっこう大変なプログラムだったのではと思いますが、すごく気に入ったのはデュルフレのソプラノ、チェロ、オルガンの組み合わせと、シューマンのピアノ・トリオの第3楽章、星川さんのソプラノ、磯田さんのノクターンでした。(吉田さんのドメッシューのオルガン曲は、面白い部分もありますが、この会場では、私にはちょっと音色的に聴いていてつらいところもありました。また酒井さんのチェロも、f部が音量的に少し不満のところがありました。)【緑区:K. I.】
○五人の熱演に感謝、三時間があっという間に過ぎました。第三部は特にすばらしく感じました。「レクイエム」はもっともっと長く聴いていたい思いでした。シューマンの盛り上がり素晴らしかったです。
 アンコールには目頭が熱くなりました。舞台上の五人の姿を拝見していると、地球の未来は明るいと思った事でした。【北区:H. T.】
○若き純粋な音楽の世界を有難うございました。ルンデのひたむきなご努力に心からの敬意と拍手をお送り致します。20周年はさらなる実り豊かな時を期待致します。【無名氏】
○私は53才、53年間生きてきて、はじめて音楽に感動して涙が出た。質の高い、レベルの高い、実に素晴らしい演奏と歌であった。本当にありがとう。この演奏へつれてきてくれたのは、今年の7月にドイツにホームステイする南女高1年の娘。その娘にも感謝。
 本当にありがとうございました。いつまでも人の心にひびく音楽をかなでていって下さい。【知多郡:K. K.】
○みんなすばらしい演奏ばかりでした(友人、知人も大変喜んでくれました)。大きな大きな感動をありがとうございました。これからも一層ご活躍されますよう心より祈念いたしております。
 アンコール曲は、私の期待していたとおりの曲で、しかも五人の演奏家の方々が心を込めて演奏していただき、胸にジーンときました。ルンデのみなさまにもお礼申し上げます。【緑区:Y. S.】
○開演をオルガンのファンファーレで飾るなんてしゃれているじゃないですか。このコンサートの晴れがましさが集約されているようでした。
 1曲目「シャコンヌ」、よく会場を鳴らす豊かな響きに好感を持ちました。しかし何分壮大な曲ですから、緊張感を持続させるのは大変なようです。長調の部分にもっと力点を入れていただければ感動が深まったと思います。
 2曲目「ノクターン」、生で聴くとこんなに内省的な音楽だったのかと驚きました。細部まで考え抜かれた演奏。3曲目スクリャービン、「トリスタンとイゾルテ」風のモチーフが印象的。第2楽章はやや消化不足か。
 4曲目ヴィドール「トッカータ」、プログラムに書いてなかったのですが、有名な曲なのですぐ入りこめました。
 5曲目「胡蝶花に寄せて」、日本語をきれいに歌える人が増えてきたことをうれしく思いました。6曲目ミカエラのアリア、ホール全体に声が広がっていました。高音がいささかきつかったか。しかし容姿も含めオペラでの活躍を見たい思いにかられました。
 7曲目「トリプティーク」、受難と復活の三幅画の意味かと勝手に思いながら聴きました。フランスのオルガン曲らしい作品。
 8曲目「幻想小曲集」、酒井さんが今までになく落ち着いた音を出しているのに驚きました。バロックチェロに取り組んだ成果でしょうか。
 9曲目「ピエ・イエズ」、こういう音楽は日本有数の響きのこのホールに最適です。
 10曲目シューマン、作曲家の憂愁、幻想、歓喜が共感をこめて表現されていました。永田さんのVnはこの曲の方が好調。
 アンコール「鳥の歌」、今日の出演者全員で演奏するのは素晴らしい発想です。音楽を楽しむことの有難みをかみしめました。【世田谷区:M. A.】

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マルティヌー弦楽四重奏団
2002年5月30日 スタジオ・ルンデ
○やはり、予想通りすごかった。今年多分、一番いいプログラムと演奏になると思う。アルテミスと比べても意味がないが、こちらはやはり、長い苦難の歴史を背負ってきた民族だけあって、演奏にも深い味わいが出ていたと思う。今日のプログラムで今日の団体が10日間連続演奏会やったら私は多分すべて聞きに行くと思う。
 マルティヌーの作品は、食わず嫌いの日本人にとって、作品のすばらしさを認識する機会となったと思う。将来このホールでマルティヌーの弦楽四重奏曲全曲演奏会が開かれることを願っています。
 全曲を聞いてみて、どれもあまりにもすごくよかったので、1曲5,000円くらいの価値は充分にあるコンサートだったと思います。しかし残念なことに、スラヴ系カルテット大好き人間の私にとって、今日が今年最後のルンデになってしまうかもしれません。でも、今年1年の多くのコンサートの中で最も印象深いもののひとつになることは間違いありません。【各務原市:M. K.】
○さすがに4人の息もぴったりで、とても迫力を感じた近くで見せて頂けるので指の動きなどよくわかる。私なりで聞き取れる音と重ね合わせて、とても楽しく聞くことが出来ました。
 ルンデはとても家庭的な雰囲気をかもし出している。【名東区:K. K.】
○日本にいて、本場の素晴らしい音楽にふれることが出来、鳥肌が立つほど感動しました。ありがとうございました。美しい東ヨーロッパに旅行した気持ちになりました。【名東区:H. H.】
○ドヴォルザークの「アメリカ」は、やはりチェコの香りがする(と言ってもチェコを知らないのだからずい分情緒的な物言いなのだが)。LPでスメタナの「わが祖国」の「ボヘミアの草原にて」ではほんとうに草の香りがした。それと同じことを感じた。ドヴォルザークでは4人の奏者がそれぞれに見せ場がある。作曲家の腕前のほどを演奏を見ながら実感した。スメタナ、名曲である。最近ようやく(この年になって)この曲のしみじみとした味わいがわかるようになってきた。【中村区:M. I.】
○久しぶりにルンデに来ました。いいナァー、この家庭的(ごめんなさい、室内楽的)雰囲気!  世界が大きく変動しています。演奏者皆様のお国もいろいろ政変があったりしています。それらの気持ちも深く入った素晴らしい演奏でした。【無名氏】
○それぞれ素晴らしかったです。特にスメタナの「わが生涯」は一人一人力が入り息が合っていて感動しました。
 ルンデは落ち着いた雰囲気で聞き易い。照明も良い。ティータイムも嬉しい。【千種区:Y. K.】
○マルティヌー7番:30〜40年前、1〜2曲(SQ)聞いて以来です。第2楽章のチェロの主題独奏が印象的でした。ドヴォルザーク:何度聴いても良い曲だと感じました。ラルゴはもう少し控え目が好きです。スメタナ:緊迫感のある演奏でSQの良さを味わうことができました。
 久し振りにSQを聴き、同じフロア−での一体感満足しました。せめて満員の席で聴きたいと思います。PRの仕方、料金設定ご検討下さい。【緑区:T. K.】
○マルティヌー弦楽四重奏団の名奏者の弓づかいは軟らかく、本当に美しい音が出ます!
 マルティヌーの曲も面白かったですが、数限りなく聴いている「アメリカ」も躍動感が素晴らしく、まさに「聴かせる」四重奏でした。きわだって違う「個性」をこのSQから楽しめ、幸せでした。後半のスメタナ、アンコール2曲も、とても楽しめました。チェコもの以外も聴きたいと思っていたら「死と乙女」までサービスしてくれるとは、ファンには嬉しい限りです。【緑区:K. I.】
○すばらしい、非の打ちところのない演奏でした。特に第1ヴァイオリンは最高でした。好きなドヴォルザークの演奏では弦楽四重奏のダイゴ味を堪能できました。
 (ルンデは)世界のトップクラスの音楽を居ながらにして聴ける幸せとともに、こんなゼイタクをしていてその内バチが当たりはしないかと思う程の……幸せです。【無名氏】

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アルテミス・カルテット
2002年5月27日 スタジオ・ルンデ
○殊にクルターク、バルトークでは、かつてここで何度も聞いたラサールSQを懐かしく思い出しました。触れば切れそうな鋭い音楽……さすが、ワルター・レヴィン氏の直弟子たちだ! 素晴らしい。【無名氏】
○鋭い音で、いい緊張感があって楽しめました。特に前半のプログラムはとても良かった。また来ます。【守山区:J. I. 】
○なんともすごいプログラムです(最初の二つは、私は聴いたことがありませんでした)。どの曲も熱演でした。クルタークの現代曲も、とても楽しめました。それにしてもエネルギッシュな演奏でした。ベートーヴェンの長い曲を、素晴らしい演奏で久しぶりに聴き、こちらもすっかり熱くなりました。【緑区:K. I. 】
○バルトークがすごい。4人が力いっぱい自己主張していて全体のバランスがよい。それどころか、4人のアンサンブルから巨大な音楽が見えてくる、傑作の最高の名演奏でした。ベートーヴェンも新鮮な響きが随所にきこえてきて後期のベートーヴェンが時代をとびこえてバルトークに直接つながっていることを納得させる演奏でした。アンコールのモーツァルトのフーガ楽章も立体的でスケールの大きい演奏でした。【中村区:M. I. 】
○驚きました。一人一人が完璧な奏者でアンサンブル、バランス、音程が完全だというだけではこのグループの長所を半分も説明したことにはならない。熱くパワフルだが、力や勢いや若さに頼ってはおらず、オーソドックスなアプローチで聴衆をつかむことのできる希有の音楽家たちだ。望むことはまたここに来て演奏してほしいという事しかない。【K. T. 】
○すばらしかった。プログラム、演奏とも。今度は、もっと現代曲を聴いてみたい。次が楽しみです。
 ラサールカルテットはルンデであとの2回を聴いたのでそれも思い出しました。ルンデは6〜7年ぶりですが、何も変わっていなかった。もちろんいい意味で。鈴木さんの前説もなつかしかった。【千種区:M. S. 】
○すばらしかった。近現代曲はもちろん。モーツァルト、ベートーヴェンの古典をこんなに共感を持って演奏したカルテットを聞いたのははじめてです。アンサンブルとして完璧でありながら、ナターリアとフォルカー、そしてハイメとエッカートが対になって、刺激し合う演奏だった。【津島市:K. N. 】
○現代音楽をケイエンしていた私にも、今日のクルターク、バルトークの演奏は解りやすく共感できました。しかし、やっぱり各楽器の美しさ、妙なる音を楽しめるベートーヴェンが後半に聴けたのは幸せでありました。【無名氏】
○以前、アルバンベルグSQのLDで彼らの若い時の演奏(レッスンをアルバンベルグSQから受けていた)をきいていたので、仕事を早く終わらせ楽しみにききにきました。LDでもそうだったけど、彼らの演奏は情熱的でパワフル。どうしてこんなに大きな音が出るのかびっくり(プロのSQでも、こんな音量できいたことない)。特にナターリアさんのVnは、“すごい”につきます。曲はどれもよかったが、特に彼らの持ち味のでていたバルトーク、ベートーヴェンの終楽章が最高でした。
 こんなすごい人たちの演奏をこんなお得の値段できけてよかったし、また満員にならなかったのがとても残念!!【緑区:R. I. 】
○クルタークは、めったに聴けないプログラムなので、大変興味深く、また、バルトークの第3では、ダイナミックかつ細心の演奏が光ったベートーヴェンは、昨年アルバンベルグ・カルテットを聴いて以来の充実した演奏だった。ドイツではメロスSQ以来のカルテットの誕生。良いコンサートだった!!【額田郡:K. S. 】
○バッハではパイプオルガンやヴィオラ・ダ・ガンバのような音がきこえ、バルトーク、クルタークでは現代の弦の音が美しくドラマチックにきこえました。時代の音がいきいきと表現されて、とても充実した時間でした。【無名氏】
○普段スラヴ系以外のカルテットはほとんどコンサートでは聞きませんが、とてもよかった。今回こようと思ったのはプログラムがとても良く、ドイツ系の作品を最初と最後、中にハンガリーの作品を2つはさんであってとてもおもしろかった。このカルテットは、何年かしたらメロスやアルバンベルグのような存在になるような気がします。今回のベートーヴェンは、ベートーヴェンの本質はこれだというような演奏でした。【各務原市:M. K. 】
○この演奏会に来ようと思ったのは、バルトークの三番とベートーヴェンの嬰ハ短調を弾くというので、それを聞きたかったのであった。したがって正直に言うとその他の曲についてはあまり意に介していなかった。ところが演奏前の鈴木さんの「解説」によれば、「絶対大満足疑いなし」ということで、いったいどんな演奏をしてくれるのか、俄然興味がわいてきた。
 まず、バッハ作曲モーツァルト編曲という珍しい前奏曲とフーガから始まったが、演奏技術的にはどうということのないこの曲に対して、きわめて慎重に接しているという感じがした。まあしかしあとで考えるとこれは小手調べで、この団体の実力が出たというわけではなかった。
 次のクルタークのミクロリュードというのは、もちろん初めて聴いたが、 「超」のつきそうな現代音楽で、弦楽器のありとあらゆる可能性を試しているような曲である。可能性というのは技巧面だけでなく、弦楽器の作り出し得る感性や雰囲気も含めてであって、曲ごとにがらっと雰囲気が変わる。技巧的にも大変難しそうであったが、おそらくこの四人であれば技巧についてはさほどの苦労はなく、勝負はまったく雰囲気の違う十二の曲をどのように弾き分けるかということだろう。これについては一度聴いただけでは何とも言えないが、作曲者の意図したことがかなり増幅されているのではないかという気がした。まあこれは演奏家として許されることだろう。
 そしてバルトークの三番。これはすごかったとしかいいようがない。この曲はバルトークの六曲の弦楽四重奏曲のなかでもっとも短く、したがってもっとも集中が要求される曲なのだが、とにかく最初から最後まで鋼鉄の線を張りつめたようなすさまじい緊張感が失われず、四人のこの曲への入れ込み方が生に伝わってきてこわいほどであった。熱演とか力演とかいった月並みな表現ではとてもその雰囲気を伝えることはできない。バルトークも自分の書いた曲がこれほどに激しく演奏されるとは思っていなかったのではないだろうか。聴いているこちらも頭のなかが音楽で詰まってしまったような気がした。
 休憩のあとのベートーヴェンはおなじみの曲(のはず)であるが、これがまた初めからすばらしい緊張感が作り出され、しかも合奏は文字通り完壁で、まったく息を呑む暇もないうちに音楽が進行していった。特に第五楽章プレストで楽器の間にフレーズが受け渡されるところはともすればずれがちなのだが、まことにタイミングがぴったりで、お見事!と言いたくなった。そしてなんといっても圧巻だったのは終楽章である。この団体が本質的に持っている音楽性にぴったりだったということもあっただろうが、普通に弾けぱむしろ憂愁の気分が出てもおかしくない音楽を、まことに激しく音を叩きつけるような調子でぐいぐいと攻めまくった。おそらく作曲者のベートーヴェンも、この曲がこんなふうに演奏されるとは予想していなかったのではないだろうか。しかしこういうふうに演奏されてみると、なるほどこの曲はこういう表現が正解なのかなあとも思えてくるから不思議である。古くはブダペスト・クワルテツトに始まり、数限りなくこの曲の演奏を聴いてきたが、この日の演奏は疑いもなくこの曲についての新しい展開を示すものだったと思う。もっとも好き嫌いということになれば話は別であるが……。
 アンコールは「この日のプログラムの最初がフーガだったし、ベートーヴェンもフーガからはじまったので」という注釈つきで、モーツァルトのK.387のト長調弦楽四重奏曲のフィナーレ〈つまりこれもフーガ)が演奏された。もちろんうまいものだったが、これまたかなり激しい演奏だったので、これまで聴いてきたこの曲の演奏とのあまりの違いにちよっと戸惑いを感じた。まあこれは趣味の問題であろうが、自分の好みとしてはこの曲などはもうちょっと優美にやってほしかった。
 あとで振り返ってみると、全体を通じてかなりあくの強い演奏だったので、人によっては抵抗があったかもしれない。しかし、芸術というものは本来そういうものであり、変革こそが芸術の本質だとするなら、この団体の取っている姿勢はすばらしいと思う。それに何よりも四人の音楽への入れ込み方が並大抵ではなく、それを目のあたりにしただけでもこのコンサートに来た価値があったというべきであろう。【安城市:T. S. 】 
○こんなに感動したコンサートは久しぶりでした。最後の拍手の中でお一人だけ立って拍手をしていた方がありました。私も本当は立って拍手をしたかったのですが何となく気後れがして座ったまま手をたたいていました。でも観客全員が立ってこの素晴らしい演奏を讃えても良かったのではと後悔しています。力強くて美しいハーモニー4人の息がぴったり合っていました。クルタークは何処の国の作曲家ですか?どうしてあのような変わった曲を書いたのでしょうか、もう一度聴いてみたいという思いにかられる曲ですがなかなかCDが見つかりませんでした。ベートーベンのOp.131は躍動感あふれる楽しい曲でした。何よりも4人がとても楽しげに演奏されていたのが印象的でした。素敵な演奏を聴きにうかがって本当に得をしちゃったな!【宝塚市:K. Y.】
○開演前のコメントにあった通り、非常に素晴らしい「お買い得」なコンサートでした。弦楽好きの私にとっては色々な奏法と音色を駆使したクルタークのミクロリュ−ドも面白かったですが、何と言ってもバルトークとベートーベンが白眉だと思います。これまでベートーベンの四重奏曲とは(一部の曲を除き)あまり相性が良くなかったのですが、今日の演奏を聴き、多くの演奏家がベートーベンの美しさを説く理由が少しだけわかったような気がしました。【千種区:J. I.】

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モラヴィア弦楽三重奏団
2002年4月29日 スタジオ・ルンデ
○やっぱりすばらしい。ここで聞くと、感動が何十倍にもなる。特に、スラヴ系の室内楽は最高なので、今後もやってほしいと思う。ここならでは聞ける曲もある(つまり、普通なら聞かずして人生をすごしてしまうのに、ここへきたことによって知る、名曲・珍曲もあるということです。)。このグループの音楽性は、前回のカルテットでも実証済みなので、最初から楽しく聞くことができた。トリオも魅力的だということがわかったのも大きい。
 室内楽を聞くのならここ(ルンデ)に限るでしょう。お金があったら全公演聞きたいくらいだ。【各務原市:M. K. 】
○流れるようなモーツァルトのメロディーのあとに、フランセの曲は実に新鮮でした。ピチカートで始まる第1楽章で、いきなり違う世界へ連れていかれる感じ、第2楽章の軽やかな世界に落ち着いたかと思うと、第3楽章では一転して弱音器をつけたやさしいなつかしいメロディー、そして、機知あふれる楽しいロンド、ブラボーの声も飛び出しました。若いチェリストの参加で、動きも活発、見るだけでも楽しかったです。【中村区:M. I. 】
○タニェエフを最後にしたいとうことで、モーツァルトからはじまった。このディヴェルティメントはよく演奏されるが、楽章が六つもあり、この日も約四十分かかった。チェロが真ん中で正面を向いているのでクリーチ氏の「奮闘」振りがいやでも目に入ったが、気のせいか、ヴァイオリンのヤホダ氏とヴィオラのジェズニーチェク氏が割合に淡々としておられたのに比べ、クリーチ氏はやや肩に力が入っているようであった。もっともこれはチェロという楽器のせいもある。もうひとつ気が付いたのは、ヴァイオリンのヤホダ氏は真横を向いておられたが、ヴィオラのジェズニーチェク氏は少し斜め加減に体を客席のほうに向けておられたことで、これはヴィオラの音が客席によく届くようにとの配慮であろう。演奏はいやみがなく、モーツァルトの音楽が素直に届いてきた。ところで、この前の古賀さんのチェンバロのときにも思ったことだが、モーツァルトの時代にはこういった曲はどのような雰囲気の中で演奏されたのだろうか。少なくともこの日のようにしんと静まり返った会場で演奏されたのではなかったであろう。まあ音楽というものはどのように聴くべきかというルールは特にないのではあるが、こういう曲は弾くほうも聴くほうも気楽な気分でおれぱいいのだと思う。少なくとも自分はそういう気分で聴いていた。まあしかし、気楽に聴いてもらえるように弾くというのもなかなか難しいことで、この日のように気楽に聴けたというのはそれだけこの曲が演奏者の手のなかにちやんと入っていたということだろう。
 短い休憩ののちフランセが演奏されたが、これが実にすぱらしかった。初めて聴く曲なので、どうしても曲についての印象が先行してしまうが、第一楽章がいきなり弱音器つきの細かな動きで始まったのでおやっと思った。そして終始実にしやれた音楽が流れた。第二楽章はスケルツォで、これはまさにダンス風であった。そして極め付けは第三楽章。まことに美しい歌が搦々と流れ、甘美で優雅。この日の全部の演奏の中でもっとも印象に残った(アンコールでこの曲の第四楽章が演奏されたが、実はこの第三楽章をやってほしかった)。フィナーレは一転してめまぐるしく曲想が変化する、機知に富んだ楽章。演奏は大変に難しそうだったがこれも大変に面白かった(休憩時間に楽譜をのぞいてみたが、たしかに大変に難しそうであった)。演奏が終わったとたん「プラポー」の声が飛んだが、それも当然で、こんなすばらしい曲をこんなにすぱらしい演奏で聴かせてもらって、まさにこれは至福のときであった。
 休憩のあとに演奏されたタニェエフの曲は意外と古典的で、形式的にもよく整っており、ベートーヴェンやブラームスとあまり距離がないように思えた。音の重ね方などもかなりクラシックな響きがした。通常弦楽三重奏というと、どうしてもヴァイオリンが主に聞こえてくるものだが、この曲はそうでもなかった。曲の作り方がそうなっていたのか、それともそういうことを意識して演奏されたのかもしれない。
 アンコールは初めにベートーヴェンの作品九の三のハ短調三重奏曲のスケルツォが演奏されたが、もちろん大変にうまいもので、この三人によるこの曲の全曲の演奏を聴きたくなった。アンコール二曲目としては前にも書いたようにフランセの曲のフィナーレがもう一度演奏されたが、これはずいぶん大変な楽章なので、聴いているほうは楽しかったが、本当にご苦労さんであった。
 最後に全体的な印象を書いておく。三人のかたと直接にお話をする機会がなかったが、演奏を聴いた感じや、舞台のうえの様子からすると、三人とも人柄が穏やかでありながら音楽に対してはとても誠実で、ひとたび楽譜に向かうと音楽に没入してゆかれるようであった。その有様を目のあたりにして、音楽というのはこのようにしてできてくるんだなあと思い、演奏が体にしみ込んでくるような気がした。やはり音楽はナマに限る。【安城市:T. S. 】
○ディヴェルティメントも、すごくシンフォニックでした! フランセ、曲は独特のやわらかい弓づかいで、素晴らしいと思いました。前半、それにしても見事な弦楽トリオでした。
 後半のタニェエフも、楽章の性格の違いの面白い、とても良い曲でした。スケルツォも面白かったし、アダージョは美しかったです。それにしても、本当に生き生きした素晴らしいトリオでした。楽章の途中で、先輩達が、譜面台をちょっと手を出して直してやるところなぞ、泣かせます。
 SQは良いけれど、弦楽トリオはちょっと……なんて偏見だったと、あらためて実感する素晴らしい開館記念でした!【緑区:K. I. 】
○音楽の流れや音の出し方が自然でここちよい。
 モーツァルトは難しい!! まだ体があたたまってなかった? フランセはヴィットに富んだしかけがいっぱいで、このグループのソフトなアプローチでは難しいところもあった(アンコールの方が良かった)。タニェエフ、一番良かった!! ヴァイオリンの哀愁ある音もピッタリ!! 積極的なチェロがすばらしい。【K. T.】
○フランセとタニェエフが良かった。平日は仕事で、土日休日しか来れないが、室内楽はルンデでと決めている。【亀山市:M. K.】

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コペンハーゲン・ピアノ・トリオ
2002年4月20日 スタジオ・ルンデ
○久し振りの生演奏で、生の楽器の音の良さをまた再確認している。これ程近くで、よく響く音は他では味わえない。ベートーヴェンは熱演であったと思う。【幡豆郡一色町:M. S. 】
○デンマークの演奏家の演奏を聴くのは始めてでした。解説に「華々しい演奏」とありましたが、何となく北欧の冷清な静けさの演奏をイメージしていましたがすばらしい力強い演奏でした。美音でした。
 ルンデでは、日本は勿論ヨーロッパ各国の名手の演奏が聴けて、とても勉強になるし、興味がつきません。ますますクラシックのトリコになりそうです。【無名氏】
○清く澄んだ音に心を洗われる思いだった。音はよし、曲はよし、時はよし――という気持。演奏を聞きながら、ボスニアにパレスチナにコペンハーゲンにと飛んだ。
 音楽の喜びを与えてくれるルンデに、祝杯を!【守山区:N. N. 】
○どの曲もドラマチックな演奏で時のたつのを忘れました。最後のラヴェルは透明度の高い力演で結構でした。【北区:H. T. 】
○特に後半がよかったのではないでしょうか。
それにしてもルンデはとても小さいホールで驚きました。【吹田市:S. T. 】
○3人の奏者が豪快に楽器をスケールの大きな曲が奏でられていました。ラフマニノフなどぴったりの名演でした。ラヴェルはCDで聴いてイメージしていた曲とちがって、初めて聴くような演奏でした。考えてみれば、いつも同じ演奏なら演奏会に出かける必要もないわけで、新しい発見があることがライブならではの楽しみですよね。ベートーヴェンの終楽章がハイドンのびっくり交響曲のように始まって、演奏家たちのユーモアも感じました。【中村区:M. I. 】
○なかみの濃いプログラムに大いに期待していました。まさに期待どおり、すばらしいピアノトリオでした。
 極めて美しい“ノットゥルノ”、私の好きな骨太のベートーヴェン“大公”、専門のトリオなら、でした。三人の力量に余裕があり、技巧は十分に音楽にお「つかえして」いるし、本当に三人が「音楽している」という感じが楽しめました。Pトリオは、やはりこうでなくては、と思います。
 後半もとても良かった。美しいラフマニノフ、そして、小粋さは残しつつ骨格のしっかりしたラヴェル! アンコール2曲もとても気がきいていて、楽しい音楽でした!【緑区:K. I. 】
○ラフマニノフはすばらしかった。雰囲気が一変した。そしてラヴェルも。ロマンチックな歌をもったトリオだと実感した。 【津島市:K. N. 】
○これはまた素晴らしいピアノ・トリオでした。“専従”のアンサンブルの見事さを見せつけられました! 演奏の充実ぶりは「これぞ室内楽」。後半は“大公”と打って変わった歌いっぷりの良さで泣かせる。アンコールの意表を突いた“ウィーン、我が夢の都”がまた何とも粋で……。【無名氏】

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戸田弥生 ヴァイオリン・リサイタル
2002年4月3日 スタジオ・ルンデ
○近頃はCDばかり聴いていましたので、本日の素晴らしい演奏はフレッシュな空気をいっぱい吸い込んだようなよろこびがありました。
 特にエネスコ・ソナタは二人の演奏者の思い入れがうかがえ、入魂の音色に打たれました。【無名氏】
○ルンデは大・中ホールよりも身近に感じられてよかった。はじめてきましたが、機会があればまた聴きに来たい。【磐田市:T. A. 】
○戸田さんの演奏を聴いて一番印象に残ったのは息つぎでした。息つぎが聞こえて顔でも表現していて体全体を使って演奏しているようでとてもすばらしかったです。【E. T. 】
○心が清められる思いでした。まさに「共演」で、このような音の輝きに接することができるのは、ルンデのお陰と感激しています。40年前に過ごしたレバノンとベイルートに思いをはせてピアノの音に酔い、中東の平和を祈りました。【守山区:N. N. 】
○シューベルトのソナタも艶やかで良かったですが、エネスコがすごかった! ヴァイオリン(とピアノ)の新しい可能性をひきだしている名曲と思いますが、戸田Vn、エル=バシャPfとも素晴らしかったです。ルンデで聴けて良かった、と心から思います。(蓋全開のPfでこの素晴らしい演奏、エル=バシャさんも特筆すべきピアニストと思いました。)「クロイツェル」ソナタも期待通りの名演でした。アンコールのエル=バシャ曲も良かったです。素晴らしい音楽性のお二人に感謝!【無名氏】
○シューベルトよりエネスコ、エネスコよりベートーヴェンの方が合っているような感じがしました。力強い演奏が向いている。是非チャイコフスキーのVn協を聴きたいですね。
 ルンデは学芸会の発表会のような小ホールで驚きました。運営も大変なのではと。直に音楽が聴けてよかったです。【東京都中野区:H. O. 】
○幸せです。去年も聴かせていただきました。これからも楽しみにしています。【桑名市:Y. M. 】
○エネスコのソナタ第3番に圧倒されました。これ以上むずかしくは書けないのではというヴァイオリンのパート、それにピアノが勝手に弾いているようで、音楽が立体的、すごく大きな世界が見えてきました。演奏もこれ以上なくすばらしかった。ベートーヴェンも初めてこの曲を聴いたときのようにドキドキする演奏でした。新鮮で今生まれたばかりの曲のように聴きました。【中村区:M. I. 】
○戸田弥生さんのコンサートは、長く聴きたいと思いねがっていたものです。バッハの無伴奏コンサートは残念ながら聴きのがしてしまいましたが、今回は私の大好きなエネスコのソナタも入ったプログラムでした。エネスコのソナタは実演で聴くのは初めてでした。圧巻でした。お得意中のお得意といった感じをうけました。クロイツェルも素晴らしかった。
 ストラディヴァリの素晴らしい音色をこうして間近に聴けるなんて、いい経験でした。【蟹江市:K. M. 】
○エネスコも良かったですが、やはりクロイツェルを聴くと楽しくなります。きっと演奏していても楽しいでしょうね。
 ルンデはもう少し椅子が座り心地が良いといいですね。でも一流の演奏を小人数で聴けるのは贅沢でいいです。【瑞穂区:Y. Y. 】
○とてもいいコンサートでした。ヴァイオリニストのリサイタルは「ソリストと伴奏者」でなく今日の様にピアニストもソリストたるデュオリサイタルに限ります。プログラム的には聞いてみたかったエネスコのソナタNo.3があり、そして私の大好きなベートーヴェンのクロイツェルソナタも聞けたし、しかも素晴らしい演奏で。戸田さんの割と強くて激しい音を、エル=バシャさんのピアノの優しい音が絶妙なバランスでとても良かったと思います。
 エネスコのソナタはやっぱり“血”の曲だと思います。その“血”を持たない他民族が表現するのはやはりむずかしいなぁと思いました(リズム&ブルースを決して日本人が黒人の様には歌えない様なもの)。これはしかたないですね。「クロイツェルソナタ」は今日のお二人の演奏とても気に入ってます。ベートーヴェンの作品に関しては、私は交響曲はベートーヴェンの作り上げた偉大な構築物、ピアノ作品はベートーヴェンの分身だと思ってます。
 そしてヴァイオリン(弦楽四重奏曲をのぞく)。ベートーヴェンという人、とても強靭な意志を持った人、常に前に向かって進んでゆきたいという志向の強い人だと思います。その反面この人程心の安寧と精神の安らぎを求めた人はいないと思う。ベートーヴェンのことを恋多き男というけれど、それは彼が、多分その心の安寧と精神の安らぎを女性の中に求めた結果であると私は思う。そういった安らぎみたいなものを私はベートーヴェンのVn曲の中に感じるのです。今日のお二人のクロイツェルは正に強靭さをベースにしつつ、安らぎのニュアンスもちゃんとあって、私の聞きたかったベートーヴェンのVn曲はこういうものだと改めて思い、私個人的にはとても気に入っています。戸田さんもエル=バシャさんも本当に素晴らしい演奏家だと思いました。
 唯一つ残念なことは、今年の桜、例年になく早く咲き、もうすでにその季節は終わってしまいました。エル=バシャさんに日本の美しい桜を見て頂きたかったです。
 今回初めてルンデの例会に参加させて頂きました。この国ではクラシックというと、神聖な芸術だ! みたいなところがあって、とても厳しい存在なのだけれど、少なくとも室内楽に関してはもっと日常的で、気安いものだと私は思う。ヨーロッパではクラシックは日常の中に根付いているというけれと、それは元々ヨーロッパのものであるということもあろうが、ここルンデの様に、ナチュラルにクラシック音楽と接することのできる空間が町の公民館の様にいっぱいあるからだと思う。ここは演奏家と聴衆を芸術家と凡人としてではなく、この世に生を受けた同じ人間どうしとして音楽を共有できる希有の存在だと思います。ルンデに集う人は(演奏家も聞き手もそしてここのスタッフも)音楽を心から愛してやまない人だということを私は今日実感しました。演奏家にとってもここはとても魅力的というか、演奏に接することの原点に立ち戻らせてくれる様な場だと私は思いました。【知立市:E. A. 】

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小林秀子 ヴィオラ・リサイタル
2002年3月12日 スタジオ・ルンデ
○ヒンデミットのソナタ、とてもよかったです。場面によって様々なヴィオラの音色が聴け、大変感動しました。ピアノの音がとてもきれいで、バランスがよかったです。【小牧市:Y. N. 】
○あまりヴィオラは聴いていなかったので、オール・ヴィオラ・ソナタのプログラムは魅力的でした。広い時代にわたる曲の演奏、さすがに実力派と思わせました。曲、演奏とも後半2曲が素晴らしく良かったと思います。ヴィオラらしい音の響きが特に良かったです。ピアノとのかけあいも見事でした。アンコールの「鳥の歌」も、カザルスのチェロ以外では初めて聴きましたが、小林さんのヴィオラによる演奏も素晴らしかったです! 音量のことは、主宰者の説明で分かりましたが、レーガーではちょっと大きすぎるのでは、とも思いましたが、後半2曲では、しっくり行きました。【緑区:K. I. 】
○小林さんのヴィオラがすごく響いて、ビックリしました。とても力強く迫力のある音が出たり、やさしい音が出たり、楽しく音楽を聴くことができました。弓のかえしがわからない程きれいで、すてきな演奏でした。ありがとうございました。
 ルンデはホールがすごく良い感じでした。ティータイムがあるなど……良かったです。又来たいと思います。【刈谷市:E. T. 】
○音がしっかりしていて、音量が豊かで、テクニックがしっかりしていて、音楽がまっとうで、非常に実力のあるヴィオリストですね。ヴィオラの世界では大切な奏者と感じました。ただぼく自身の好みとは余り合わなかったんですが……。ヘンデルはモダンの奏法でしたが、ぼくはピリオド奏法の演奏ばかりきいているので、ひさしぶり、という感じでした。レーガーは、貴重なものをきかせて頂きました。残念ですが、ぼくはあまり好きになれませんでしたメンデルスゾーンは曲を見直しました(特に2楽章)。ヒンデミットはやはりヴィオラの魅力をひき出すのがうまいですね!!
 ピアニストも非常な実力派とお見受けしました。曲の中でリラックスできる所が少ないのが残念でした。【瑞穂区:K. T. 】
○今まで何十回何百回とクラシックの演奏を聴いてきましたが、ヴィオラのソロを聴くのは生まれて初めてで、とても珍しく興味深く拝聴しました。従って、ヴィオラの曲もはじめて聴くことができ新天地へ旅した気分。世界的に活躍されている小林秀子氏の演奏で私のヴィオラのページが展かれたのは、とても幸運。
 ルンデに感謝。生涯、忘れられないコンサートのひとつになるでしょう。(ピアノの C. Vickers さんの端正な伴奏にも心魅かれました。)今夜は名手二人を堪能しました。【無名氏】
○小林秀子さんは前回無伴奏の曲だけのリサイタルをルンデヘ聴きにきた。つまり自分としては二回目のつもりだったが、最近、東京時代のスクラップを見ていたら、1990年1月のNHKの「若い芽のコンサート」で聴いていたことを発見した。ちなみにこの時に出演したのは小林秀子さんの他、ヴァイオリンの小林美恵さん、ソプラノの澤畑恵美さん、ピアノの小川典子さんで、いずれもいままさに第一線で活躍中の人ばかりである。小林さんはそのときバルトークのヴィオラ協奏曲を弾いたのだが、その時の感想として「楽器の音がよく通り、技巧的にはとんでもなく早いところでもちっとも苦労しているように見えなかった」と書かれている。
 ところで小林さんを前回ルンデで聴いたときは、若いに似ず落ち着いた演奏をする人だなあという印象であった。ただこの日の演奏を聴いた印象は、むしろ十二年前の時の印象に近かった。まず、楽器が実によく鳴る楽器で、鈴木さんも言っていたが、ピアノの蓋を全開にしても決して負けない。もっとも、楽器の音は少し硬めで、いわゆる「ヴィォラらしい」音を期待してきた人にはちょっと意外だったかもしれないし、自分としても同じヴィオラ族の一員としては、もう少し柔らかい音のほうが好きだが、まあこれは好みの問題である。むしろ、普通はヴィオラというと何となく中間的な存在でソロには向かないのではないかという意識が先行してしまうところを、ヴィオラでもこんなに輝かしい演奏ができるのだということを主張しているように思った。
 またこの日の曲目がまことに意欲的なものであった。何しろ古今のソナタばかり四曲、それもヘンデル、レーガー、メンデルスゾーン、ヒンデミット(ヘンデルのソナタはもともとはヴァイオリンのためのものだったと思うが)という「豪華版」で、ヴィオラのあらゆる可能性を聴かせてもらったようでまったく堪能した。しかも、例によって最前列で聴いたのだが、前に書いたようにヴィオラの音がぐいぐい迫ってくるので、まったく圧倒されてしまった。特に後半のメンデルスゾーンとヒンデミットは曲そのものが大変に劇的であり、それをまた小林流に劇的に膨らまして演奏された感じで、ヴィオラでもこんなに迫力のある音楽が作れるんだなあとひたすら感心した。技術的にも見せ場が多かったし、まさに熱演で、これはライブでないと絶対に味わえない「出会い」であった。なおこの二曲はピアノがかなり大変で、時に主役の座をヴィオラから奪ってしまうようなところがあったが、出番が終わるとすっとヴィオラに主役を渡す呼吸が絶妙であった。ヴィツカーズさんというのは経歴を見るとかなりの人のようだが、さすがであった。
 アンコールはカザルスの「鳥の歌」のヴィオラ版であったが、激しい演奏の後、しみじみとした歌を聴かされて涙が出てしまった。【刈谷市:T. S. 】

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佐藤豊彦 フランス様式のリュート音楽
2002年3月6日 スタジオ・ルンデ
○リュートを生演奏できけてとてもよかったです。ルンデは舞台が近くて驚きました。とても良いホールですね。【豊田市:M. O. 】
○象牙の美しい楽器ですが、従来のリュートより音もタフな感じがしました。前半では、ヴィゼーの最後の曲がなつかしい気がしました。後半のバッハ、チェロ以外で聴いたのは初めてですが、佐藤さんのリュートはさすがに素晴らしかったです。老ガロの“こうもり”、アンコールのヴァイスの“シャコンヌ”も、とても美しかったです。【緑区:K. I. 】
○大学のピアノの先生に今日の演奏会を聴きに行くようにすすめられて来ました。リュートという楽器はCMなどにも使われていて、知ってはいましたが、生の音を聴くのは初めてでした。佐藤さん一人の演奏で、あれだけ表情豊かな音楽をつくることができるなんて本当に驚き、感動でした。腕を使い、ミュートをつけたような音や、情熱的なfをたくみに奏でてみえて、弦楽器についての自分の勉強不足さを痛感しました。あんなふうに私も(ピアノで)、表情豊かな演奏ができたらなぁ……。とても勉強になりました。すてきな音楽をありがとうございました。
 ルンデはPlayerの方とお客さんがひとつになっている感じがして、とてもあったかい雰囲気のするホールでした。【瀬戸市:T. M. 】
○掛け合いあり、追っかけあり、重奏あり、一台のリュートとは思えない弦のオーケストラを聞いているみたいで、音も繊細、又重い野太い響きなどあり大変感動しました。又聞きたいです。 【滋賀県東浅井郡:K. O. 】
○今回は思わぬ眼福に与りました。佐藤さんの持って来られた楽器が何と、象牙の胴張りで、その象牙も16−7世紀に採集された、今は絶滅してしまった種のものとか。紡ぎ出される音は、よく透った張りのある響きで、今まで聴いたリュートとは随分異なった印象を受けました。終演後のロビーであらためて披露され、表面から光を当てて裏から見ると、響口とその周囲の彫刻が象牙のほの白い肌目の上にステンドグラスのように浮かび上がるのは、思わず溜め息が洩れるほどとても幻想的。この楽器は今後日本に置いて、帰国時のコンサートに使用されるとの事、次回も是非お眼にかかりたいものです。【無名氏】

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オーケストラ・アンサンブル金沢第17回名古屋定演
2002年2月23日 愛知県芸術劇場コンサートホール
○今夜はとてつもなく素晴らしい演奏に出会ってしまった。心の奥底のひだにひびいてくるクラリネットの音色、ハーモニーのひびき、何と表現してよいのか言葉がない。こんなに心に迫ってくる演奏に出会えて感謝。【鈴鹿市:Y. H. 】
○クラリネットが、体を使って(張って)演奏する楽器であることをはじめて理解することができました。ソロの時、第1ヴァイオリンがずっと後方に下がってスペースを作っているのは、やはりあれだけクラリネットを振り回すからなんだろうなぁと思いました。とても良かったです。
 ショスタコーヴィチがとてもよかったです。今度はオール・ショスタコヴィチ・プログラムにチャレンジしていただきたいです。キタエンコで全集作ってほしいものです。【豊明市:K. M. 】
○モーツァルティーナ……自分には少し印象に残らない曲ですが、一部にチェコらしい愛らしいメロディー。
 クラリネット協奏曲……超有名かつ大好物の曲で、特に2楽章は体が熱くなり落涙。フックスさんの全身全霊、真剣勝負、音霊が宿った演奏には感激しました。コンサートには1曲でもひいきの曲があれば来ますが、大満足。
 ショスタコ……解説の如く、軽快、部分的にユーモラス、楽しい、ぶ厚い曲。ショスタコは暗く堅いと聞いていましたが、なかなか興味を引かれました。共産主義万歳とはどうか聞こえるような聞こえないような。
 キタエンコさんも力が入っていて、アンコールの最後の曲はキタエンコさん指揮ぶりかっこいい。キタエンコさんのファンになりました。【天白区:G. N. 】
○楽しかった。音も素晴らしかった。
 特にショスタコーヴィチのシンフォニーは、まさに見て楽しむ音楽という感銘を受けました。【熱田区:S. Y. 】
○大変素敵な演奏ありがとうございました。久し振りの生演奏感激致しました。金沢の地でこんな素晴らしい楽団のあることを知りました。今後の御活躍をお祈り致します。【名東区:K. M. 】
○素晴らしかった。 5,000円はとても安かった。前々からのファンですが、今まで聴いた内で一番良かった。【三重郡:K. T. 】
○久しぶりにオーケストラの演奏を聴きました。ちょっと渋めのプログラムですが眉間に皺寄せるような曲でも無いので行く気になったのですが……。オーケストラは伝統的な配置(両翼配置です)で、最近はこのような伝統的なオーケストラの配置も珍しくなくなりました。
 “モーツァルティアーナ”は初めて聴きましたが、その名の通り黙って聴けば殆どモーツァルトとしか思えない曲でした。3楽章は有名な“アヴェ・ヴェルム・コルプス”の編曲ですが、キタエンコ氏の絶妙な弱音のコントロールが印象に残りました。ダイナミクスをピアニッシモの方向に広げて、ほとんど限界に近いくらいのpppをオーケストラに要求していましたが、それに見事に応えていたオーケストラはお見事でした。2管の小編成でしたが、低音も充実した響きでもの足りなさは感じませんでした。残念ながら、4楽章は曲そのものが冗長に思えました。ヴァイオリンがソロで活躍する部分は流石にチャイコフスキー自身の協奏曲を想起させる部分がありましたが……カットしてもっと短くすればすっきりするのでは……と勝手なことを思っていました。
 “クラリネット協奏曲”でビックリしたのは、ソリストのフックス氏の激しい体の動き。譜面台にクラリネットをぶつけやしないかとこっちが心配するほどブンブン楽器を振り回して、あれだけ動いていたら音も揺れるのでは?と思いきや、なんとも柔らかい音色で絶妙な演奏を聴かせてくれました。特に2楽章はキタエンコ氏の微に入り細にわたる伴奏も素晴らしく、正に「至福の時」の気分に浸ることが出来ました。
 協奏曲が終わった後は拍手がいつまで経っても止まず、フックス氏がアンコールを2曲吹いて休憩になりましたが、後半のプログラムもあるし、袖になかなか引っ込めないオーケストラとフックス氏が少々気の毒になりましたが……。あまり長い拍手も考えものかもしれません。
 最後のショスタコービッチの“第9交響曲”ですが、キタエンコ氏の指揮はスヴェトラーノフ氏のような猛烈突進型の演奏では無くかなりゆっくりしたテンポで曲を開始していましたね。オーケストラは舞台スペースに余裕があるのにもかかわらず、かなり密集して中央に集まっていました。(これは、キタエンコ氏の意向なのでしょうか?)
 端正な演奏でアンサンブルの質も高く安心して聴いていられましたが、両翼配置のせいか、第2ヴァイオリンの音が少々聞こえにくい部分もありました。サウンドポートが観客の反対側に向いているから仕方がないかもしれませんが、第1ヴァイオリンと同じ音で弾いている場合は、第2ヴァイオリンの音が無いように聞こえるのです。これが、両翼配置の欠点なのかもしれません。
 アンコールは知らない曲でしたが、これもなかなか良かったです。コンサート後のアンコール曲の告示(?)を見損ねてしまいましたので、曲の名は分からずじまいでしたが、なかなか良いコンサートだったと思います。【東海市:D. H. 】

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プロ・アルテアンティクァ・プラハ
2002年2月1日 スタジオ・ルンデ
○今回のコンサートをとても楽しみにしていました。ベートーヴェン時代の古楽器により、迫力と叙情のある美しいベートーヴェンの演奏を聴くことができ、夢うつつでありました。こういう楽器や楽譜が研究、再現されることにも、とても感動を覚えました。【無名氏】
○響き的にはヴィオラ2弦のモーツァルトの“弦楽五重奏曲”が好きなので、大いに期待していました。序曲では、聞き慣れていないせいか、四重奏ではちょっと音が淋しいかとも思いましたが、五重奏の交響曲に入ると印象が一変、すばらしい弦楽五重奏曲になりました。さすがにベートーヴェンの曲です!
 演奏は、“運命”では第三、第四楽章が、“英雄”では第四楽章が圧巻でした。チェコの弦はいつもルンデの空間になじんで美しく聴いていますが、今夜のガット弦の響きも素晴らしかったです。ただ、“英雄”の第二楽章の葬送のテーマはヴァイオリンではない低音の出だしの方が、またあともヴァイオリンは1オクターブ低い演奏の方が美しいのではないか、という気もしました。【緑区:K. I. 】
○これは大シンフォニーでした。そして曲が、どう書かれているかが非常によくわかりました。あちこちに室内楽的な駆け引きがあるのですから、たまりません。すばらしい企画です。【昭和区:N. T. 】
○弦楽器で聴くシンフォニーを期待してまいりました。初めての経験でしたが、大変素晴らしいものでした。力強い演奏に感激し、CDも買いました。ありがとうございました。【西区:A. N. 】
○非常に素晴らしかった。またやって欲しい。ここ(ルンデ)で聞くスラヴ系のカルテットはどれも凄い。今日のコンサートもすべてが素晴らしかった。6月にチェコ七重奏団(今日のメンバーも一部在籍)が来日するので、ここで聴けたらと思う。今後もスラヴ系のカルテットをどんどんやって欲しい。【各務原市:M. K. 】

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クリスティーネ・ショルンスハイム
2002年1月13日 スタジオ・ルンデ
○2年前(バッハイヤー)に、バッハ・フェスティバルでショルンスハイムさんの“ゴールドベルグ変奏曲”を聴いて以来、すっかりファンになってしまいました。今日のコンサートはつい最近知り、本当に聴くことが出来て良かったです。バッハの曲がとても好きで、ショルンスハイムさんのソロ・リサイタルがあればなあと、バッハ・フェスティバル以来ずっと思い続けていて、やっと聴けて大満足です。遠路はるばる足を運んだかいがありました。素晴らしい音色にうっとりして聴かせていただきました。
 ルンデで初めて聴かせていただきましたが、とても聴きやすかった(広すぎず、雰囲気も良かった。チェンバロの演奏を聴くのにもピッタリで、とても心地良く感じられました)。また足を運びたいと思います。【京都市:A. E.】
○ハートにしみじみと訴えかけるチェンバロの音であり演奏でした。アンコールのフランス組曲の“サラバンド”の一曲は、バッハを好きになるきっかけの曲だったのがうれしいです。チェンバロでも感情表現が十分出来る、新しい発見でした。【名古屋市北区: M. I. 】
○新年コンサートのチェンバロ、久しぶりでしたが、やはりルンデの空間にとけ込んで、良かったです。ショルンスハイムさんのチェンバロ、アンダンテ部での休止のとりかたに独特のものを感じました。前半では“イタリア風協奏曲”の“アンダンテ”の左手部分が面白かったです。
 後半は、アンコールも含め、熱演で全て楽しかったです。【名古屋市緑区:K. I. 】
○派手さはないが、しっとりとした心にしみ入る演奏でした。静かに耳を傾けていると、気分のほぐれていくのが感じられます。今年のワインはいい選択だったと思います。今日の演奏のような……。【名古屋市瑞穂区:J. O 】
○チェンバロという楽器が、如何に華やかな雰囲気を演出出来るかということを、しみじみ思い知らされたコンサートだった。エマニュエル・バッハの終楽章の見事さには圧倒されて声も無し。昨年秋だかここで聞いたのと同じ楽器だとは信じられない。いや、音楽の違いなのだろうが、いずれにせよ「表現力」の偉大さを痛感した。【無名氏】
○「アーリーミュージックの権威」とあるから、どんな厳しい「女史」が現れると思いきや、陽気で気さくな「オバサン」だったのでホッとしました。演奏はサスガ、楽器もゴキゲンで鳴り響いていました。ふと、一昨年のマリサ・タンツィーニを思い起こしました。【無名氏】

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