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PREVIEW 2004

セルゲイ・ハチャトリアン(ヴァイオリン・リサイタル スタジオ・ルンデ 6月6日)

 昨年秋、ウラディーミル・フェドセーエフ指揮東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲を弾いたのを聴いた。
 私の席はただでさえ巨大で響きの悪いオーチャードホールの、よりによって2階バルコニーに覆われた1階最後列だったのだが、そうした席の悪条件を忘れさせる活気に満ちた演奏が、まるで最前列で聴くもののように展開した。
 コントラバスを8本使ったオーケストラを最大限に鳴らせるフェドセーエフの指揮を突き抜けて、艶やかさとしなやかさを併せ持った力強い響きをホールの隅々まで飛ばし、作品の持つ暗い情緒と血沸き肉踊る熱気とを十全に表現していた。みかけは彫りの深い顔立ちで引き締まった体躯の美男子だが、けだし大器といえよう。【Maszao Allai】

セルゲイ・ハチャトリアンを聴いた!

 ルンデの6月例会でソナタ・リサイタルをするハチャトリアンが、得意のハチャトリアンの協奏曲を弾くとあっては聞き逃すわけに参りません……という事で、4月18日は愛知県芸術劇場コンサートホールの、クルト・マズア指揮フランス国立管弦楽団演奏会に出かけました。まず、プログラムが洒落ている――お目当て協奏曲を挟んで、デュカスの“魔法使いの弟子”とムソルグスキーの“展覧会の絵”、しかもそれが聴き飽きた(?)ラヴェル版ではなくて何とゴルチャコフ版と言う、涙の出そうなもの。とにかくドハデな音の洪水でしたが、特に管楽器の無類の美しさで、それがちっともイヤ味でないのが嬉しい。久し振りにオケらしいオケを堪能出来ました。
 で、肝心のセルゲイ君――これがまた凄いのなんのって。クソ難しそうなパッセージもいとも軽々と弾きこなして、フル編成のオケに対して一歩も譲らぬ堂々たる姿勢。かと思うと随所に現れるハチャトリ節(殊に緩徐楽章の)は、これがまた年に似合わぬ含みのある“憂愁の美”に包まれて、堪らぬ、と来る。すっかりイカレてしまいました。演奏後延々と続いた拍手は、東京公演でも同じで、そっちは遂にアンコールにイザイを弾いたとか。――それにしてもこの素晴らしい協奏曲が、何故もっと演奏されない? クラシックに馴染みの無い人でも、メン・チャイより遥かに楽しめると思うんだけどナァ……がその日の結論。
 そして、6月のオーソドックスなソナタ・プロでは、今度はどんな「大人の」音楽を聴かせてくれるのか、スゴーク楽しみであります。
 そうそう、オマケの話。協奏曲の間、隣に座っていた西洋のオバサンの様子が、どうもそうじゃないかと思っていたら、案の定、後半ヴァイオリンを抱えたセルゲイ君がノコノコとその横に……母上だった。当人19歳、小柄でハニカミ屋の好青年です。【waraji】 

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