御喜美江《ファンタスティック・アコーディオン》2003
MIKI MIE  Fantasitic Accordion XVIII
御喜
【写真:望月 孝】
《ルンデの会3月例会》
2003年3月9日(日)15:00(開場 14:30)
スタジオ・ルンデ
(名古屋市中区丸の内 2-16.-7)


スカルラッティ:ソナタ K.159、K.52、K.1(アコーディオン・ソロ)
グリーグ:『叙情小曲集』より (アコーディオン・ソロ)
祖国のうた、ワルツ、孤独な旅人、おばあさんのメヌエット、妖精の踊り

江村夏樹:『月を見ながら歌をうたうか』(アコーディオン・ソロ)
ピアソラ:『S.V.P.』、『バチンの少年』(アコーディオン・ソロ)
アンジェイ・クシャノフスキー:エコー(アコーディオン・デュオ)
野村 誠:FとI (アコーディオン・デュオ版)

【共演】大田智美(Accordion)

【参加会費】一般 4,500、ペア 8,000、学生 2,000
      一部座席予約可(160席中約50席)
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188

プログラムノート

江村 夏樹:『月を見ながら歌をうたうか』
“How About Singing A Song Looking At The Moon?”

 御喜美江さんから作曲の委嘱があってこの曲を書いた。
 アコーディオン1台で演奏できる10分の曲を、ということだった。ひとつの楽器と、それをあやつるひとりの演奏家がそろえばどこででも音楽が成り立つ、という実際的な着想に好奇心が沸いた。
 自分で思ったように楽譜を作ったから、その場の見当で即興しているように聞こえても、御喜さんはぼくが楽譜に書いたことを弾いている。しかし音の強弱や表情を指定せず、右手と左手はおおよその程度合っていればいいことにして、時間の軸はぼかして書いた。だから音の長さの呼吸が伸縮して、弾き方によっては曲の相貌がかなりの幅で変わる。
 楽譜は10分の演奏時間を持つが、音のない時間が延びていても延びていなくても、そのへんの加減はどうにでもなるように、長さの決まった休符を使っていない。こういう作曲のやり方を自分の勝手な用語で音楽の「耐震構造」と言っているが通用しますかどうでしょうか。
 題名はどこかの本からの引用ではなく、ぼくが考えてつけた。アコーディオンという楽器ひとつが民族を超えて、原始的な共感を呼び起こすような曲を書こうと思った。(江村夏樹)

アンジェイ・クシャノフスキー:エコー
 クシャノフスキーは、若くして亡くなった私の友人です。
 私の住んでいたドイツと、クシャノフスキーが住んでいたポーランドは、当時、近くて遠い国でした。その2つの国をつなぐように ”エコー”(こだま)として、2つのアコーディオンを結びつけたシンプルできれいな曲です。私のために書いてくれた曲です。(御喜美江)

野村  誠:「FとI」(1999/2001)
 この曲は、鍵盤ハーモニカ四重奏「FとI(1999)」を編曲したものです(電子オルガンのための「FとIはささいなことでけんかした(1999)」が、さらにその元になっています)。
 鍵盤ハーモニカとアコーディオンは、同じリード楽器なので、編曲してみました。一日1小節ずつ、毎日朝顔に水をやるように気軽に書いた曲です。毎日の気候の変化や気分の変化にも影響をされながら、曲調は1小節進むごとに、少しずつ変化していきます。植物に水をやるのもいいものです。(野村 誠)
出演者 プロフィール

御喜美江(みき・みえ アコーディオン)

 東京生まれ。4歳からアコーディオンに親しむ。
 16歳でドイツ・トロシンゲン市立音楽院へ留学。1973・1974年「クリンゲンタール国際アコーディオンコンクール」青年の部で連続優勝。同年「アヌシー国際アコーディオンコンテスト」二重奏の部で第1位。ハノーバー国立音大ピアノ科でベルンハルト・エーベルトに師事、卒業後デュイスブルクのフォルクヴァンク音楽大学アコーディオン科の講師となる。同大学教授を経て、現在デトモルト国立音楽大学(ドルトムント校)アコーディオン科教授。
 ドイツを中心に活発な演奏活動を展開し、世界の主要なフェスティバルなどに招かれている。
 1990年には1989年度ドイツ州政府芸術奨励賞(音楽部門)をアコーディオン奏者として初めて受賞した。
 国内では、1977年に岩城宏之指揮・札幌交響楽団で日本デビュー。ルンデの会例会には1983年以来96年を除く毎年3月来演し(下欄参照)、常に意欲的なプログラミングで聴衆を魅了している。1987年サントリーホール・オープニングコンサートシリーズでリサイタル。1988年カザルスホール・オープニングコンサート。バロック作品から彼女のために書かれた新作(その数は約40曲にのぼる)に至るまでの意欲的なプログラムが注目を集め、クラシック・アコーディオンの第一人者として幅広い支持を得ている。
 国内盤CDでは「風のファンタジア〜クラシックアコーディオンの世界」「モーツァルト in アコーディオン」(CBSソニー)、「御喜美江 アコーディオン・シーン」(フォンテック)、1997年に音楽の友社主宰レコード・アカデミー賞特別部門(日本人演奏)を受賞した「御喜美江アコーディオン・バッハ」(アイオロス)、「フランス・バロック集」「ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集」、ヴィオラの今井信子とのデュオ「時の深みへ」(以上キング・インターナショナル)、アコーディオンのシュテファン・フッソングとのデュオ「T”W”OGETHER」(DENON)、「ソノリティズ〜日本のアコーディオン作品」(キング・インターナショナル)など、多数リリースされている。
 2002年9月には、東京での「国際アコーディオン・コンクール」の審査委員としての来日し、ルンデの会例会にも登場した。  
大田

【共演】大田智美(おおた・ともみ アコーディオン)

 1980年生まれ。
 幼少の頃よりピアノを始め、10歳からアコーディオンを江森登氏に師事。
 国立音楽大学附属音楽高校ピアノ科卒業後、渡独。
 現在、デトモルト音楽大学ドルトムント校アコーディオン教育科在学中。
 御喜美江に師事。
 第3回JAA国際アコーディオンコンクール上級の部にて第3位受賞。

御喜美江 ルンデの会例会来演記録
1983年 4月 Fantastic Reeds -1- 【共演】崎元 譲(harmonica)
1984年 3月 Fantastic Accordion -1-「スカルラッティから高橋悠治まで」
1985年 3月 Fantastic Reeds -2- 【共演】崎元 譲(harmonica)
1986年 3月 Fantastic Accordion -2-
1987年 3月 Fantastic Accordion -3-
1988年 3月 Fantastic Accordion -4-
1989年 3月 Fantastic Accordion -5-【RUNDE Klavier Tage '89】
1990年 3月 Fantastic Accordion -6-
1991年 3月 Fantastic Accordion -7-【共演】安田謙一郎(cello)
1992年 3月 Fantastic Accordion -8-【共演】安田謙一郎(cello)
1993年 3月 Fantastic Accordion -9-
1994年 3月 Fantastic Accordion -10-
 【共演】ディター・デレンベッヒャー、クリスティーナ・タチク(accodion)
1995年 3月 Fantastic Accordion -11-【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano)
1997年 3月 Fantastic Accordion -12-
 【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano)、Das Klarinetten Duo
1998年 3月 Fantastic Accordion -13-
1999年 3月 Fantastic Accordion -14-【共演】高橋悠治(cembalo)
2000年 3月 Fantastic Accordion -15-【RUNDE Klavier Tage 2000】
2001年 3月 Fantastic Accordion -16-【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano)
 【ルンデ開館20周年記念シリーズ】
2002年 9月 Fantastic Accordion -17-


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