「新たな世代へのデュオ」プライ Jr. & グルダ Jr.

Florian PREY & Rico GULDA, DUO

P&G
フローリアン・プライ(bariton)  リコ・グルダ(piano)

《ルンデの会5月例会》
2003年5月27日(火)19:00(開場 18:30)

モーツァルト:静けさはほほえみ K.152、すみれK.476、クローエに寄す K.524
モーツァルト:「魔笛」より“私は鳥刺し”、演奏会用アリア“彼に目を向け給え”K.584
シューベルト:春の思い D.686、さすらい人 D.489、ます D.550、菩提樹 D.911-5
ブラームス:湖上で Op.59-2、セレナード Op.106-1、野の寂しさ Op.86-2、日曜日 Op.47-3
モーツァルト:ピアノ・ソナタ イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
ブラームス:バラード ニ短調「エドワード」Op.10-1/シューベルト:「即興曲」より
フリードリヒ・グルダ:ピアノのための小品より
ロルツィング:エーベルバッハ伯爵のアリア“明るく愉快に”(歌劇「密猟者」より)


【会場】スタジオ・ルンデ(名古屋市中区丸の内 2-16.-7)
【参加会費】一般 4,500、ペア(予約)9,000、学生 2,000
      一部座席予約可(160席中約50席、学生除く)
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188

楽しみな二世コンビ、フローリアン・プライとリコ・グルダ  (音楽評論家:小山 晃)

 ヘルマン・プライとフリードリヒ・グルダの息子たちがコンビで5月下旬に来日する、と聞いてとたんにすごく嬉しくなった。バリトン歌手フローリアン・プライとピアノのリコ・グルダである。
 このごろはクラシック系アーチストの二世たちも結構活躍しているが、フローリアンとリコもそうである。大歌手、名ピアニストだった父親はともに故人になってしまったが、息子たちが頭角を現してきたのが、とても慶ばしい。父プライなどF=ディスカウと人気を二分し、多少傾向は違うにしろ実力伯仲の二人だったが、どちらかと云えば学術的なF=ディスカウよりぐっと庶民的なプライのほうを私は好んでいた。
 何度も来日して至芸といえる歌を聞かせてくれ、常に若々しく万年青年のようだった父プライが、1998年に突然という感じで他界したときは暫く頭の中が空虚になり、彼が遺したリートやオペラもののレコード、CDを2、3日の間はひっきりなしに聴いていた。そして、残念、非常に残念至極、と独り呟いていた。息子は青年時から父の薫陶を受け、とは聞き知っていたが、同じバリトン歌手として立ち、あちらで音楽性も歌唱も高く評価されているからこんなに嬉しいことはない。
 グルダの三男坊リコにしてもそう。兄たちと同じく父から優れた才能を引き継ぎ嘱望されているピアニストである。
 そんな二人が父たちも縁のあった日本で共演し、歌曲やアリアを聞かせるばかりでなく、リコはブラームスの「バラード」やモーツァルトの「トルコ行進曲付き」ソナタ、それに父フリードリヒ作曲の小品も弾く。フローリアンはモーツァルト「すみれ」「クローエに寄す」、シューベルト「ます」や「菩提樹」、ブラームス歌曲などのほか、モーツァルトが当初はオペラ『コシ・ファン・トゥッテ』のグリエルモのアリアとして書きながら差し替えたパリトンの演奏会用アリア「彼に眼を向け給え」K.548 や、ドイツでは大衆的なオペラ、ロルツィング『密猟者』エーベルバッハ伯爵のアリア「明るく愉快に」などを歌う。
 父に追いつけ追い越せ、と応援したい二人である。
プロフィール
フローリアン・プライ (バリトン)

florian ミュンヘン音楽大学にて、ハンノ・ブラシュケとアンナ・カピナティに師事。しかしその父、忘れもしないヘルマン・プライからも芸術的な成長の過程において多大な影響を受ける。
 キャリアを積む途中のまだ若い時に、すでにドイツ、イタリア、フランス、オーストリア、スイスの有名な歌劇場にて、リリック・バリトンの輝かしい一連の役柄を歌った。
 特筆すべきは、「魔笛」のパパゲーノ、「コシ・ファン・トゥッテ」のグリエルモ、「ナクソス島のアリアドネ」のハルレキン、「三つのオレンジへの恋」のパンタネーロ等である。
 ヴェニスのフェニーチェ歌劇場で J. S. バッハの「ヨハネ受難曲」が初めて舞台化された折には、そのイエス役がセンセーションを巻き起こした。また、ウィーン室内オペラで初めて上演された歌劇「ジョージ・タボリス」ではシルヴィオを歌い、ヨーロッパ中にテレビ放映された。多くのCD録音が彼の音楽的レベルを物語っている。

 リコ・グルダとの出会いは、彼らがミュンヘンで同じ大学に通っていた時代に遡る。その縁で音楽の盟友となり、最近では“ルードヴィヒスブルグ音楽祭”や“クラウスの夏音楽祭”に参加するなど、共に数多くの舞台を踏んでいる。
リコ・グルダ(ピアノ)

rico チューリヒにて、音楽一家の末の息子として生まれる。
 ミュンヘンにて5歳から、日本人の母ユウコにピアノのレッスンを受け、12歳の時からルードヴィヒ・ホフマンに師事。高校卒業後ウィーン大学にて、ノエル・フローレスのマスタークラスにて研鑚を積む。ディミトリー・バシュキロフ(ザルツブルグ夏季音楽アカデミー)、パウル=パドゥラ・スコダやオレグ・マイセンベルグ(ウィーン)のマスタークラスで学び、父であるフリードリヒ・グルダから指導を受けることにより勉強を終えた。
 コンサートでこれまでにヨーロッパ各地、アジア、アメリカ合衆国、とりわけウィーン楽友協会ホール、リンツのブルックナーハウス、ザルツブルグ祝祭大劇場、そして東京のオーチャードホールに出演し、ウィーン・フィル、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団、ベルギー国立管弦楽団、ミラノ交響楽団、リンツ・ブルックナー管弦楽団などと共演した。
 ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学にて教鞭を執っているほか、韓国で客員教授を務め、ウィーン、ソウル、日本の名古屋芸術大学にてマスタークラスを開いている。ラジオ録音やテレビの収録も多く、ソロでシューベルトとシューマンの作品を収めたCDと、あまりに早く亡くなってしまった彼のデュオ・パートナーのミヒャエル=パドゥラ・スコダと共演したCDも出している。


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