渡辺玲子 「ブラームスとその系譜」 全3回
Watanabe Reiko Violin Recital

玲子
《ルンデの会例会》
会場:スタジオ・ルンデ(名古屋市中区丸の内 2-16-7)

『今回はブラームス・レトロスペクティヴと言う形で、ブラームスの同時代の作曲家から20世紀に入ってその影響を受けつつ、自己の作風を発展させていった作曲家の流れとして追ってみました。
 今でこそ「3B」として、バッハ、ベ一トーヴェンと並ぴ称されるブラームスですが、彼の生前そして死後しぱらくの間は必ずしも賞賛ぱかりではなく、ワーグナー賛派からの激しい批判を受けていました。加えて、彼の音楽の北ドイツ的な内省的性質は、ドイツ以外の国、特にフランス、イタリア、イギリスなどではなかなか受け入れられなかったのです。古典の偉大な時代はベートーヴェンで終わり、その偉大さを何とか受け継ごうとしたブラームスからは何も新しい展望はうまれなかった、という評価をくだされたりもしていたわけです。
 そのような時代の流れの中で、早くからブラームスの音楽にその偉大さを認め、尊敬を示した音楽家、まず最初にブラームスの才能を世に高く評価したシューマン、そして親しい関係にもあったクララ・シューマン……彼女のお葬式の後、1番のソナタを演奏していたブラームスは悲しみのあまり最後まで弾ききる事ができなかったというエピソードもある……。ブラームスの偉大さを変わらずに認めつづけた新ウィーン学派の面々――特にシェーンベルクとその師のツェムリンスキー、ブラームスのソナタから大きな影響を受けたとプーランク自身が語っているヴァイオリン・ソナタ、そしてブゾー二のソナタ、レーガーの6番のソナタに至っては、そのテーマから驚くほど明らかにブラームスの3番のソナタとの類似性が示されています。また、バルトークもブラームスを高く評価しておりました。というように、ブラームスのソナタを支柱に、時代の流れを意識した構成のプログラムにしました。』【渡辺玲子】

シリーズ・スケジュール 【共演】江口 玲(ピアノ)
(1)2004年
10月11日(月・祝)15時
聴衆の反応
ディートリヒ/シューマン/ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ「 F. A. E のソナタ」
ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調
クララ・シューマン:三つのロマンス Op.22
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 Op.78 「雨の歌」
(2)2004年
10月31日(日)15時
聴衆の反応
ツェムリンスキー:セレナーデ イ長調
シェーンベルク:ファンタジー Op.47
バルトーク:ラプソディー 第2番
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.100
ブラームス:ハンガリー舞曲集より
(3)2004年
11月30日(火)19時
聴衆の反応
プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
レーガー:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 嬰へ長調 Op.84
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 Op.108
【参加会費】各1回:一般 5,000、ペア 9,000、学生 2,000
※シリーズ一括予約:一般 14,000、ペア 25,000
      一部座席予約可(160席中約50席。学生券除く)
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188
渡辺玲子(わたなべ・れいこ) プロフィール
 15歳で第50回日本音楽コンクール最年少優勝。若い芽のコンサートでNHK交響楽団と協演し、衝撃的デビューを飾った。
 1984年ヴィオッティ、1986年パガニーニ両国際コンクールで最高位を受賞。その後、ニューヨークを本拠地として世界各地でオーケストラとの協演、リサイタル、音楽祭への参加と国際舞台での活躍がめざましい。これまでにロサンジェルス・フィルハーモニック、セントルイス交響楽団、ナショナル交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、BBC交響楽団などと次々に協演。
 1997年シノーポリ指揮ドレスデン・シュターツカペレとのCDが発売され、1998年はウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団、ロシア・ナショナル管弦楽団の日本ツアーに同行。1999年、ニューヨークのリンカーン・センターにおいてニューヨーク・リサイタル・デビューを果たした。
 2000年9月には、ミッコ・フランク指揮バンベルク交響楽団とドイツ、オーストリア・ツアー、日本ツアーで協演し大成功を収めた。2001年にはJ.S.バッハのヴァイオリンのための無伴奏曲全曲演奏に取り組み、CDも発売される予定。
 超絶的なテクニック、玲瓏で知的な音楽性、幅広いレパートリーで、日本のみならず世界のヴァイオリン界をリードする逸材。ニューヨーク在住。
 ルンデへは、すでに1988年3月「若き音楽家を迎えて」例会で来演している。
江口 玲(えぐち・あきら) プロフィール
 東京芸術大学作曲科、ジュリアード音楽院ピアノ科大学院修士課程、及びプロフェッショナルスタディーを卒業。1986年ヴィニアフスキー国際ヴァイオリンコンクールにてシュヴァイツァー賞受賞。90年、ジュリアードの協奏曲コンペティション、及びジーナ・バッカウアー国際ピアノ奨学金コンクールで第1位獲得。92年、ウィリアム・ペチェック・ピアノデビュー賞を受け、リンカーンセンターのアリスタリーホールにてニューヨークリサイタルデビュー、ニューヨークタイムズ紙より絶賛された。
江口 その後、欧米及び日本をはじめとするアジア各国にてリサイタル、室内楽、協奏曲、その他、G・シャハム、加藤知子、竹澤恭子、渡辺玲子等、数多くのヴァイオリニスト達とも共演、世界中で好評を博している。93年には、アイザック・スターンをホストにホワイトハウスで演奏。94年、96年、99年に日本でのリサイタルツアー、97年にはジュリアード音楽院オーケストラのアジアツアーのソリストに抜擢され好評を得た。
 アメリカのカーネギーホール、エイヴリーフィッシャーホール、ケネディセンター、パリのシャンゼリゼ劇場、ミュンヘンのヘラクレスザール、ウィーンのムジークフェライン、ロンドンのバービカンセンターなど世界中の主要会場に出演、高い評価を受けている。
 CDはドイツグラモフォン、EMI、フィリップス等、多くのメジャーレーベルから発売されている。2002年春には、自ら編曲したガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」他、アメリカ人作曲家によるソロCDを NYS Classics より発売、「レコード芸術」誌で特選を得るなど話題となっている。また2003年6月に発売された二枚目のソロアルバム「巨匠たちの伝説」(2002年、カーネギーホールにて録音)は、再び同誌で特選盤を得て二枚連続選出の快挙となった。


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