佐藤秀廊氏に師事、１９６７年第１回のリサイタルを東京で開催。１９７０年に西ドイツのトロシンゲン市立音楽院に入学しヘルムート・ヘロルドに師事した。１９７１年には、ロンドンで世界的ハーモニカ奏者であるトミー・ライリーに師事、また、第１３回世界ハーモニカ・コンクールのソリスト部門第２位入賞を果たし一躍注目を浴びた。
　１９７３年、帰国リサイタルを全曲ハーモニカのオリジナル曲で開く。１９７８年、岩城宏之指揮、ＮＨＫ交響楽団とヴィラ・ロボスのハーモニカ協奏曲を定期公演で協演、札幌交響楽団、東京交響楽団とも協演した。１９８０年、小澤征爾指揮、新日本フィルとポール千原の「弦楽四重奏と管弦楽のための協奏曲」のハーモニカ・パートを演奏した。
　リサイタルではフランクのヴァイオリン・ソナタを取り上げるなど、毎回変化に富んだ意欲的なプログラムを展開している。また、ソロだけでなくギターやハープとのデュオ、三宅榛名とのジョイント・コンサート等にも精力的に取り組んでいる。
　現代日本の作品を紹介することも彼のライフワークの一つであり、１９７９年には、可能性を追求するため、ハーモニカのそれぞれ違った面を表現する４回連続のコンサートを行い、また１９８４年には高橋悠治、三宅榛名らを迎えリサイタルを開き好評を博した。
　１９９７年には、演奏家生活３０周年のコンサートをアコーディオンの御喜美江、ハープの三宅美子、ピアノの三宅榛名、美野春樹をゲストに迎えて開いた。
　崎元譲のハモーカ音楽に対する姿勢は、とかくマイナー視されがちなこの楽器で、他の楽器と十分に肩を並べられるだけの表現の幅を持った音楽を演奏することである。それだけの表現の可能なスライド式のクロマティック・ハーモニカを使用し、またそれを普及させる努力をも続けている。彼の卓越したテクニックと豊かな音楽性、そしてその情熱には、実に目を見張らせるものがある。
　現在は各地でのコンサトのほか、映画、テレビ、コマーシャル、ラジオ、ＣＤ録音に活躍する傍ら、後進の指導にもあたっている。

　ＣＤでは「日本の四季」「我が心のフォスター〜フォスター作品集」「トレド・フォー・ユー〜ハーモニカとピアノのためのオリジナル作品集」（以上ピアノ：美野春樹）を過去にリリース。近年カメラータからは、バツハから日本の現代作曲家まで無伴奏によるプログラムを収めた「ハーモニカの芸術」（１９９８年）、吉松隆の作品集「忘れっぽい天使」（１９９９年）をリリースしている。２０００年５月には「ヴォカリーゼ」（ピアノ：美野春樹）、「アヴェ・マリア」（ハープ：三宅美子）発表したが、今回のリサイタルのプログラムは、その「ヴォカリーゼ」から大半を採っている。

　１９５０年生まれ。高校２年生より長谷川良夫氏について作曲を学ぴ、７６年に東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業した。在学中も作曲を長谷川良夫氏に学ぴ、また、スコアリーディングを矢代秋雄氏に学んだ。現在では主にスタジオでのピアノ、キーボード奏者、および作曲、編曲家として活動しており、その音楽はテレビ番組、ＣＭ等で多く用いられている。また自身の主宰するジャズ・トリオ“美野春樹トリオ”は、ライヴハウス、コンサート等で根強い人気を誇っている。